香港・中国市場Dairy ~ 香港ハンセン指数は伸び悩み、中国本土市場は金利据え置きを受けて本土不動産株が上昇
ハンセン指数 21,163.91 pt (+0.42%)
中国本土株指数 7,399.60 pt (+0.43%)
レッドチップ指数 3,747.13 pt (+1.71%)
売買代金1,318億5百万HK$(前日1,863億1百万HK$)
20日のアジア株式市場は、先週の主要中銀の相次ぐ金融引き締めの動きが世界景気の減速につながるとの懸念から売り優勢となった。日経平均は一時前営業日比400円超安、半導体をはじめハイテク銘柄の売りが先行し、半導体製造の東京エレクトロン(8035)は10日続落して、同5.2%安で引けた。
韓国総合株価指数(KOSPI)は、先週、急落し、週間下落率が約8%台と今年2番目の大きさだったが、本日は2,400pt割れとなり、前営業日比2.0%安の2,391.03と年初来安値を更新した。サムスン電子(005930)などハイテク株売りが先行し、全般にさえない動きが続いている。
香港・中国市場は今日もデカップリングの動き
香港ハンセン指数は2日続伸し、前営業日比0.42%高。先週から指摘しているが、4日連続でデカップリングの動きが目についた。同指数は寄り付きは200ポイント超安で始まるも、経済活動の早期正常化に期待が強まり、午後からは上げ幅を拡大した。
20日、中国人民銀行は住宅ローン金利に影響を及ばす5年物LPRを据え置いた。金融市場では不動産市況改善が期待され、中国本土の不動産銘柄が上昇して相場を牽引した。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は前営業日比15%高、中国政府系デベロッパーの華潤置地(1109)、中国海外発展(0688)はそろって同8%高となった。雅居樂集團 (3383) は同7%高、中国不動産開発大手の碧桂園(カントリー・ガーデン)(2007)は同7%高、不動産開発の龍湖集團(0960)は同6%高となった。
中国・江蘇省の大手不動産会社である佳源國際(2768)は一時、前日比90%高の大幅高となり結局、同73,1%高の0.58で引けた。同社は、前週金曜日に取締役会を開き、低迷する不動産にあって過去1年間を支え続けた従業員に対して、ストックオプションの付与を発表した。発行数は計1億3000万株(発行済み株数の約2.64%に相当)であり、1株あたりの行使価格は0.38元にあたる。2025年6月16日有効であり、先週金曜日の0.335から13.4%のプレミアムがついている。
レジャー関連のゲームやカジノ銘柄は下落した。マカオで市中感染が拡大し、集団検査が実施されることが発表されたことを嫌気した。サンズ・チャイナ(1928)や銀河娯楽(0027)、オンラインゲームの網易(9999)は前営業日比約6%下落した。
中国本土株では上海総合指数が、前営業日比0.04%安の3315.43と小幅に反落した。CSI300は同0.50%高の4,330.43で引けた。経済活動の正常化や景気刺激策の期待から指数はプラス圏で推移し、下値は底堅い動きが印象づかられた感がある。
中国人民銀行は政策金利の据え置きを実施
中国人民銀行は20日、銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(LPR)を発表し、市場の予想通り据え置いた。1年物LPRは3.7%、5年物LPRは4.45%、それぞれ前月と変わらず、1年物については5か月連続の据え置きとなった。人民銀は先週、中期貸出制度(MLF)についても1年物金利の引き下げを2.85%から見送っていた。
5月には住宅ローン金利に影響を及ぼす5年物LPRを15bps引き下げていた。前回の5年物LPRの引き下げ幅は、2019年にLPRが現行の制度に移行してから、最も大幅な引き下げで、不動産市況の下支えを意図したものであると解釈されている。
中国の消費者物価指数は世界的にみると低い伸びが続いている。しかし、世界的に、物価の上昇ピッチが上昇しており、主要中銀は金融引き締めにシフトしている。そんな中で、積極的な金融緩和を踏み込むことは、中国人民銀行にも躊躇があるのだろう。また中国はロックダウンの影響から抜け出し、経済はやや改善の兆しをみせていることも、金利引き下げを見送った要因と考えられる。
本土の感染者数は減少、マカオでは8か月ぶりの市中感染確認
週末の新型コロナウイルスの集中検査でも感染は抑制されている状況が続いている。前日の新規感染者数(無症状含む)は24人と先週から大幅に減少し、5日連続で100人を下回った。内訳は北京市が5人、上海市は13人、深圳市、内モンゴル自治区はともに感染者数はゼロだった。上海市は7月末まで毎週末、大規模コロナ検査を実施する予定も足元の新規感染者数は減少傾向にある。ゼロコロナ政策下の中国当局は新規感染者に対して敏感に反応し、政策変更の有無が求められる。依然として、行動規制(ロックダウン)と隣り合わせの政策を実施する中国当局の政策転換がいつ行われるのだろうか?
マカオでは、週末、新型コロナウイルスの市中感染が8カ月ぶりに確認された。マカオ政府は、住民約60万人を対象にした集団検査を行うと発表した。検査は21日まで3日間にわたって実施される見通しで、ほとんどの住民は自宅待機を強いられ、レストランでの店内飲食サービスを停止するという。マカオ通貨当局はマカオのすべての銀行と保険会社の営業を停止した。19日日曜日の感染者数は21人に増加し、そのうち13人は無症状感染によるものである。マカオは中国の「ゼロコロナ」政策を踏襲しており、感染者数の推移には敏感に反応せざるをえない。