米・イランが攻撃の応酬
9月5日、米中央軍とイラン軍の間で、イラン周辺海域の船舶をめぐる攻撃の応酬が発生した。米中央軍は、イランの主要な石油輸出拠点であるカーグ島沖などで、イランの石油タンカー3隻を攻撃したと発表。イランのイスラム革命防衛隊が米海軍艦船2隻に弾道ミサイルを発射したことへの報復措置だと説明している。
クーパー米中央軍司令官は、「革命防衛隊への明確なメッセージだ。われわれの艦船2隻を攻撃すれば、それを上回る経済的コストが科される。すなわち、そちらの3隻を撃破する」と述べ、抑止を狙った行動であることを強調した。一方、イランのタスニム通信は、米軍のミサイル4発がカーグ島の停泊地付近でタンカー1隻に命中したと報道。地元筋の話として、死傷者はなく、乗員は退避したと伝えている。
これに対し、イラン革命防衛隊海軍は声明を出し、すべての船舶に対して、未許可の航路を通過しようとする不審な行動を慎むよう警告した。そのうえで、ホルムズ海峡地域における米軍艦船への攻撃を強化すると表明。さらに、石油タンカー3隻に加え、別の海域にいた米国関連船舶3隻も標的にしたと主張した。米中央軍によれば、米側に負傷者は出ていない。
停滞する交渉。経済的圧力を強める米国。
米国とイスラエルが今年2月にイラン攻撃を開始して以降、紛争は長期化し、交渉は目立った進展を見せていない。トランプ政権は、制裁拡大を通じた経済的な締め付けへと軸足を移そうとしているようにも見えるが、トランプ大統領は軍事行動の可能性も示唆してきた。過去1週間ほどで米国とイランの緊張は一段と高まっており、今回の攻撃応酬はその延長線上にある。今後、偶発的な衝突や報復の連鎖によって、情勢がさらに深刻化する可能性がある。
イランはOPECで第3位の産油国であり、紛争前は原油輸出の約90%をカーグ島から行っていた。米国が4月中旬にイラン産原油輸出への海上封鎖を開始して以降、輸出は停止している。トランプ大統領は8月、イランの核開発停止とホルムズ海峡の再開放に向けた合意が速やかに成立することを条件に、新たな対イラン攻撃を見送ると表明した。しかし合意は成立せず、攻撃の応酬は続いている。カーグ島への攻撃は、すでに海上封鎖で打撃を受けているイランの石油産業と経済全体に、さらなる圧力を加えるものだ。米政権は協議の停滞を受け、対イラン二次制裁の強化も発表した。
原油市場にも波及、供給懸念が再燃
中東の緊張が高まり、世界的な供給懸念が強まるなか、北海ブレント先物は4日、1バレル=96.28ドルと、7月24日以来の高値で取引を終えた。ホルムズ海峡は世界のエネルギー供給にとって重要な要衝であり、今後の米・イラン双方の出方は、原油価格や金融市場のリスクテイク意欲にも影響を与えることになる。