イラン革命防衛隊がイスラエルに報復攻撃

中東地域での地政学的リスク増大

前者については、イスラエルが4月1日に、シリアにあるイラン領事館をミサイルで攻撃したことをきっかけに、イランがこの攻撃に対する報復として、イスラエルを何らかの軍事行動を取ると宣言したことで、緊張が高まっている。1日の攻撃では、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館が攻撃され、イラン革命防衛隊の司令官ら複数のイラン人が死亡した。イランの最高指導者ハメネイ師は2日、イスラエルには「罰が下されるだろう。イスラエルに対し、犯した罪を後悔させる」と発言した。イラン国内からのイスラエル攻撃が主要なシナリオの1つとして浮上した。

そして、イラン国営メディアが、イラン革命防衛隊の声明として、4月13日、イスラエルの特定の標的に対して無人機(ドローン)とミサイルを発射したことを報じた。イスラエルとイランは長年にわたり対立を続けているが、これまでは代理勢力を介した紛争や、第三国にある互いの標的への攻撃にとどまっていた。イランがイスラエル領を直接攻撃するのは初めてのことである。イランが実際に、報復攻撃を実施したことで、これまで局地的だったイスラエルとイスラム組織ハマスとの紛争が中東地域で拡大し、イスラエルとイランという中東地域の国家対国家の軍事衝突に発展するリスクが高まった。これにより、中東情勢は一段と不安定化するだろう。

事態の鎮静化を目指して、報復をしないよう呼びかけてきた主要国は、イランの攻撃を非難した。国連のグテーレス事務総長はイランの攻撃を非難し、「壊滅的な事態悪化の非常に現実的な危険性について強く警戒している」と述べた。バイデン米大統領は、イスラエルと「揺るぎない」連帯を表明した。当事国である、イスラエルは、国連安全保障理事会に緊急会合の開催を要請した。安保理は、14日午後4時(米東部時間)に開催されるという。

原油市場や金市場の動きは金融市場よりも先行しており、価格動向には一定程度の織り込まれていると言えるだろう。しかし、株式市場や債券市場では、まだ軍事衝突のシナリオまでは織り込まれていない可能性が高い。明日月曜日朝のリアクションには気を付けておきたい。

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