米連邦債務の上限問題に終止符

実際には2025年1月1日までの時限措置

米国連邦議会上院は、1日ワシントン時間の深夜(日本時間は2日午前)に本会議を開催し、バイデン大統領と下院共和党が「原則合意」した連邦債務の上限に関する「財政責任法案」を賛成63、反対36の賛成多数で可決した。下院では、前日に同法案を可決済みで、バイデン大統領に送付されて、署名をもって成立する。この法案は、2025年1月1日まで、債務の上限ルールについて適用を停止するとともに、今後約2年間の連邦歳出に上限を設定する内容である。

これにより、6月5日には連邦政府の法定債務が上限に達し、米国がデフォルトに陥りかねない事態は回避された。バイデン大統領が2日夜に今回の予算合意に関連して演説する予定も発表された。

合意の内容については、民主・共和両党の議員からも、様々に疑念の声が上がったが、時間を掛け過ぎて、米国のデフォルトを招き、それが世界経済を大混乱に陥れるリスクを増大させるとする説得に、多くの議員が折れた格好になった。

金融市場は、短期債を中心に米国のデフォルトリスクを一部織り込む動きもあったが、法案の成立で、それは解消に向かった。これにより、焦点は、6月・7月の米FOMCでの金融政策判断に移る。FRB高官の一部からは、利上げ停止を示唆する声も上がっているが、PCEなどインフレ指標は高止まりしており、早期利下げまで織り込んでいた動きとは流れが明らかに変化している。5月雇用統計の発表を控え、インフレ動向に注目が集まることになる。

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