香港・中国市場Dairy ~ 中国不動産への救済策発表を受けて不動産株が大幅高、ハンセン指数も続伸
ハンセン指数 17,619.71 pt (+1.70%)
中国本土株指数 5,979.80 pt (+1.92%)
レッドチップ指数 3,440.88 pt (+3.71%)
売買代金2,049億1百万HK$(前日1,825億9万HK$)
不動産の救済策発表、中国株ラリー続く
14日の香港株式市場は、先週後半からのラリーが続いた。中でも、中国本土銘柄で構成されるハンセン中国企業株(H株)は前日比1.92%高で2営業日の上げ幅は計10%を超えた。
中国保健当局が先週末、新型コロナウイルス感染対策の隔離期間の短縮をはじめ、制限措置の一部を緩和したことで経済活動の再開に期待が高まっている。中国国内感染者は9日連続で増加し、週末には16,000人を超えるなど、現実は厳しいが、新しい方針のもと、どのように対応が進むか注目される。
先週末13日には、中国人民銀行と中国銀行保険監督管理委員会が、金融機関に対し不動産開発業者向けの支援を拡大するよう求める通達を発表した。通達は包括的で大規模な救済策といえる。融資の返済延長を含む16の措置が盛り込まれ、流動性危機に直面している中国の不動産部門を支援する内容である。
一連の措置では、地方政府に不動産購入頭金や住宅ローンの条件緩和を求めたほか、賃貸住宅の建設といったプロジェクトの推進、不動産業界再編のための合併・買収資金の融通なども含まれた。債務返済に関しては、融資の返済期限が6ヶ月以内に迫っている場合、返済期限を1年延長するよう求める措置も盛り込まれた。
こうした一連の経済支援は、政策当局が景気刺激策を拡大するよう迫られているとも考えられる。11月に入って発表された経済指標は懸念されたよりも低調で、中国ではデフレリスクが意識されはじめている。金融・財政政策が緩和されているにもかかわらず、10月の貿易統計や物価統計は需要後退を示唆、新規銀行融資も急減して経済活動の後退を示している可能性が取り沙汰されている。散発的な新型コロナウイルスの感染拡大は行動規制を長期化させ、贅沢抑止・浪費防止などの政治的スローガンは、個人消費や内需を一段と冷え込ませた。
来週21日に予定されるプライムレートの改定では、景気刺激策の一環として利下げを期待する声も高まってきた。中国新指導部は、経済成長という重い課題に、どういった取り組みが続くか注目される。
ハンセン指数は続伸
14日のハンセン指数は続伸、取引開始直後には一時18,000ポイントまで回復する場面もみられ、他市場をアウトパフォームする展開が続いた。出来高ベースでは今年6月以来の2,000億香港ドル超えと商いはかなり盛り上がったが、今夜に控える米中首脳会談を控え、上げ幅を縮小し前日比1.70%高で引けた。
前述した不動産業界への包括的な救済策発表を受けて不動産株が大幅高。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は13.5%高と、2営業日で26.4%戻し、約2ヶ月ぶりの高値を記録した。不動産開発の港龍中国地産(6968)は62.0%高、碧桂園(2007)は45.5%高、龍光集團(3380)は38.7%高、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は26.7%高の大幅高となった。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は1.80%高と続伸。自動車関連株が連日の買い戻しが目立ち、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は14.0%高、新興メーカーのNIO(9866)は9.0%高、自動車部品メーカーのネクスティア(1316)は7.8%高だった。
一方、エアラインや旅行関連銘柄が上げ一服で反落した。中国国際航空(0753)は6.1%安,オンライン旅行会社のトリップ・ドットコム(9961)は5.9%安、キャセイ・パシフィック(0293)は4.2%安、中国南方航空(1055)は3.1%安だった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.13%安の3,083.40、CSI300は同0.15%高の3,794.02で引けた。両指数は朝方、高く寄り付き上海総合指数は一時1%を超える場面もみられたが、足元の感染者が気がかりとなり上値は抑えられた。重慶市の一部では事実上のロックダウンに踏み切ったなど、香港に隣接する広東省に続いて行動規制が敷かれている。
なお、本日、現地時間17時半(日本時間18時半)からはバイデン米大統領と習近平国家主席との首脳会談を控える。今後の米中関係を占うような材料となるか注目される。