ペロシ米下院議長の台北訪問を受け、香港・中国市場は大幅反落

香港・中国市場Dairy ~ ペロシ米下院議長の台北訪問を受け、香港・中国市場は大幅反落

ハンセン指数 19,689.21 pt (▲2.36%)
中国本土株指数 6,702.07 pt (▲2.54%)
レッドチップ指数 3,579.62 pt (▲2.35%)

売買代金1,180億9百万HK$(前日1,148億9万HK$)

ハンセン指数
米中関係の悪化が危惧され、香港・中国ともに大幅下落

アジア歴訪中のペロシ米下院議長が台湾訪問を決定すると発表されたのを受け、アジア市場は大幅反落、米中間の緊張が一段と高まった。ペロシ氏は本日、香港時間午後22時20分に台湾に到着する予定であり、あす蔡英文総統と会談すると伝えた。

一方、台湾を領土の一部と見なす中国は、ペロシ氏が訪台に踏み切れば「重大な結果」を伴うことになると警告するなど、米中関係の悪化が危惧された。

米憲法下によれば、下院議長は大統領継承順位で副大統領に次ぐ2位の要職で、米下院議長の訪台が実現されれば1997年以来、25年ぶりとなる。

2日の香港市場はハンセンが一時3%を超える大幅な下げとなり、サポートラインの20,000ptを割れた。同指数の年初来の下落率は約15%に達し、約2ヵ月半ぶりの安値水準となった。

中国・香港株はこのところ、不動産セクターの危機深刻化で売り込まれる局面が続いたが、米中関係悪化の懸念が、さらに投資家心理をネガティブに働かせた。

香港株式市場は幅広い銘柄が売られ、ハンセン指数の構成銘柄は1銘柄を除いてほぼ全面安の様相となった。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は7.4%安、ガラス大手の信義玻璃(0868)は6.7%安、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は6.5%安だった。

ハイテク銘柄の比重が高いハンセンテック指数も前日比3.0%安と30構成銘柄は全面安だった。

中国の主要銘柄も売られ、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.5%安、株価は290香港ドルまで下落し、3年半ぶりの安値水準を付けた。

そのほか、Eコマース大手のアリババ(9988)は5日続落し2.8%安、デリバリーサービスの美団(3690)は2.1%安、スマートフォンの小団(1810)は4.2%安だった。

一方、中国市場は上海総合指数が前日比2.06%安の3,186.27、CSI300指数は1.95%安の4,107.02で引けた。米中関係の緊迫化が警戒され、上海総合指数は約2ヵ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。

香港市場はグローバル指数を大きくアンダーパフォーム

香港市場は相次ぐネガティブ材料からグローバル指数と比較してアンダーパフォームの流れが続く。

先月、米国では政策金利を決定するFOMCを終え、積極的な金融引き締めが後退したことを受けて米株式市場は大幅反発した。米国を代表するS&P500は節目の4,000ptを回復し、7月の安値から実に約10%近く上昇した。

一方、中国・香港市場は新型コロナウイルスのリバウンドに加え、7月下旬からは不動産危機が相次いで報告された。不動産セクターの信頼が損なわれたことはマーケット全体に波及し、ハンセン指数は前月の高値から約10%近くも下落した。

8月に入ってはアリババの米上場廃止の暫定リスト入りや、台湾をめぐる米中会談などで米中緊張が高まり、株式市場は下落に転じる場面が続く。年初来のパフォーマンスでは日経平均が4.16%安に対し、ハンセン指数は15.9%安とここ数日の下落が顕著に目立つ。

米中の動向次第によって状況は大きく変わる可能性も考えられるが、中国国内の景況感の悪化に加え、地政学的リスクの浮上が中国・香港市場の不透明な環境を映し出す結果となっている。引き続き指数の方向に注目が集まると思われる。

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