中国・香港市場は米FOMCを好感せず反落、中国不動産市況の低迷が足かせに

香港・中国市場Dairy ~中国・香港市場は米FOMCを好感せず反落、中国不動産市況の低迷が足かせに

ハンセン指数 20,845.43 pt (▲2.17%)
中国本土株指数 7,259.41 pt (▲2.60%)
レッドチップ指数 3,667.30 pt (▲2.81%)

売買代金1,584億9百万HK$(前日1,490億7百万HK$)

ハンセン指数

米連邦準備理事会(FRB)は15日、FOMCを開催し政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%引き上げて、1.50~1.75%とすることを決定した。香港は香港ドルが米ドルとペッグ(連動)制を採用するため、米国の利上げに追随し、香港金融管理局(HKMA)が政策金利を1.25%から2.00%に引き上げた。HKMAの利上げは米国と同じく、今年3回目である。

目先は次回7月のFOMC会合での利上げ幅に注目が集まる。パウエル議長は「利上げのペースは今後のデータ次第であり、0.75%幅の利上げが一般的になるとは思わない」とも付け加え、タカ派色を薄めたような発言は一定の安心感が誘った。CME Fed Watchによると次回の75bpsの利上げ幅は本日時点で76.8%と50bps引き上げの23.4%を上回っている。今後どうなるかは、インフレ率の動向次第であるものの、アジアの主要株式は米FOMCの決定を受け大幅反発、一方で香港・中国株は反落し、今日もデカップリングの動きが目立った。

(CME Fed Watch抜粋)

16日の香港市場では、ハンセン指数が前日比2.17%安と3日ぶりに反落した。同指数は寄り付きから午前中はプラス圏で推移したが、午後からは下げ、アジア市場の他指数をアンダーパフォームした。同指数は約2か月ぶりの高値水準だったこともあり利食い売りに押され、再びサポートラインである21,000ptを割りこんだ。中国の新築不動産価格も冴えない内容だったことから、不動産銘柄で構成するCSI Real Estate Indexは前日比2%強下げた。中国本土株では上海総合指数が、前日比0.6%安の3,285.39と3日ぶりに反落、CSI300は同0.66%安の4,250.06で引けた。

半面、教育サービス関連株が大幅反発した。天立教育(1773)は前日比100%高、新東方在線(1797)は一時90%を超え、同70%高のHK$28.6で引けた。同社株は先週のHK$2.7から株価は約10倍近く続伸している。そのほか、光正教育(6068)は同50%高、思考樂教育(1769)は同40%高と同セクターは先週から連日で急騰する場面が見られた。事業業務多角化に向けオンラインストリーミング事業が好調だと報じられたことが材料となった。

中国新築不動産価格は鈍化傾向が続く

16日、中国国家統計局が発表した5月の中国新築不動産価格(主要70都市)は前年比0.1%減と2015年9月以来のマイナス成長となった。前月比ベースでは0.17%減と9か月連続の下落である。中国では、新型コロナウイルス対策の厳しい規制が影響し、需要は弱いままで続いている。主要70都市の内訳は、43都市(4月47都市)が前月比ベースで低下、前年比ベースでは46都市(4月39都市)が減少した。ただ、前月ベースでの下落した都市数では回復基調もみられ、需要喚起をねらった政策効果に期待がかかる。

日本の5月貿易統計を発表、赤字額は過去2番目に高い水準

務省が発表した5月貿易統計速報によると、5月の貿易収支は2兆3846億円の赤字となった。原油などの資源高や円安の影響で輸入額は前年比48.9%増の9兆6367億円と過去最高、輸出は前年比15.8%増の7兆2521億円と赤字幅は10か月連続となった。当面は原油高を背景として貿易赤字の拡大は続くとみられ、円安の影響もあって輸入額の増大が赤字に直結するとみられる。一方、輸出に関しては中国をはじめ全体の輸出の勢いは欠けており、中国からの輸入は通信機や衣類などが増加し同25.8%増も、輸出は0.2%減少した。新型コロナウイルスの行動制限は段階的に緩和されているも、回復には時間がかかる見方が強い。多少の円安効果がっても輸出の大きな拡大は期待できず当面は資源高や円安の影響により、貿易収支の悪化が続く、厳しい環境に直面するだろう。

明日17日は日銀が金融政策決定会合を開催する。黒田総裁は大規模な金融緩和を維持する方針であり、タカ派のFRBとハト派の日銀のスタンスの相違が24年ぶりの円安の要因となっている。なお、英イングランド銀行は、本日16日、5会合連続で利上げを実施する見込みであり、インフレ抑制のために金融政策を引締める動きは、世界的に加速している。日本だけ物価上昇圧力がないとも言い難く、そんな中で、独自路線を往く日銀の動向に注目が集まる。

なお、15日には日本国債先物が2013年4月以来、大幅に下落し、一時はサーキットブレーカーが発動され取引が停止された。日銀は、大量の国債買い入れにより、イールドカーブ・コントロールの上限である10年日本国債利回り0.25%を死守したが、これが持続的な政策なのかは、懐疑的な見方が海外勢には根強い。要注目である。

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