ロシアによる原発攻撃を受け市場は大混乱、香港主要指数は大幅下落で安値更新

香港デイリー 3/4
ハンセン指数▲2.5% 市場は大幅急落

4日の香港市場〜大幅急落、パンデミック来の安値更新

ハンセン指数 21,905.29pt (▲2.50%)
中国本土株指数 7,686.87 pt (▲2.70%)
レッドチップ指数 4,175.86 pt (▲1.33%)

売買代金 1,647億8百万HK$(前日1,156億2百万HK$)

ハンセン指数(HSI INDEX)

4日の株式市場は大幅急落、前日ウクライナの原子力発電所へロシア軍が攻撃したと報道。夜間、指数先物は大幅反落し、アジアマーケットに波及した。同原子力発電所は欧州最大級の発電能力を持ち、脱炭素を傾斜してきた先進国のエネルギー供給にも影響がみられると思われる。今回のロシアの攻撃で欧州を中心に原発の安全性に対する不安が再燃するのは確実だ。そうなれば化石燃料へのエネルギー依存度は一段と高まる可能性がある。原油先物は昨日、ブレント先物が一時116ドル/バレルを突破し、リーマンショック来の高値まで続伸したが、現在は落ち着きをみせている。一部報道ではイランとの核合意復活に向け当局が動いているとのヘッドラインも流れたことが要因だ。いずれにせよ、昨日開催されたウクライナとロシアの会談も進捗が依然、見られず不透明なマーケット環境が続く。


米国では本日4日から、FRB高官はブラックアウト期間に入る。FOMC開催まで具体的な政策について言及が控えられるが、昨日FRB議長のパウエル氏は3月の25bp利上げを改めて支持した。市場はFRBが急激な利上げの措置は取らず、今回のウクライナ情勢を判断するとの見方だ。市場は再び株売り、債券買いで反応したが、インフレが急速につづく各国の判断に注目したい所だ。米10年債金利も大きく低下した。

米10年債金利は大きく下げた

4日の香港市場は大幅反落、再びパンデミック来の安値まで下落した。ハンセン指数は▲2.5%、ハンセンテック指数▲4.4%、連日で過去最安値を更新し続けている。また、香港では新型コロナウイルスの新規感染者数が高止まりしており、連日での過去最高の感染者も市場の経済停滞を意識する見方が強いと思われる。
前日決算を発表した動画配信のビリビリ(9626.HK)が大幅安▲12.9%、中国EコマースのJDドットコム(9618.HK)▲8.3%、パソコン大手のLENOVO(992/HK)▲6.5%、検索大手の百度(998.HK)▲6.2%とハイテク関連株が大きく売られた。アリババ(9988.HK)▲5.2%は上場来安値を更新した。そのほか前日大きく上げた外食チェーンの海底撈國際(6862)▲6.8%、カジノ関連、航空セクターも大幅反落した。

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ハンセン指数はパンデミック来の安値

個別銘柄

COUNTRY GARDEN碧桂園(カントリー・ガーデン)2007.HK6.11%中国不動産開発大手
CKI HOLDINGS長江インフラ1038.HK5.01%インフラ投資
XINYI SOLAR信義光能1004.HK1.58%ガラス生産
     
HAIDILAO海底撈國際6862.HK▲6.80%火鍋チェーン
JD-SW京東集團9618.HK▲8.31%Eコマース
BYD COMPANY比亜迪1211.HK▲8.60%電池・自動車メーカー
5日から中国では全国人民代表大会が開催

明日から中国では全国人民代表大会(全人代)が開催される。秋に共産党大会を控える習近平政権は経済の安定を最優先という構えで、習近平氏の異例3期目に向けて具体的な政策期待が高まる。中国は21年後半からゼロコロナ政策、不動産規制により個人の消費は縮小傾向が続く。明日から開催される全人代でも初日に李克強首相が行う政府活動報告で今後の経済成長目標をどれくらいに設定するかに注目が集まる。一部の情報筋によると22年度のGDP成長率は5.0%〜5.5%に目標設定を置くとみられ、目標が6%を下回るのは1991以来となっている。

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中国GDP成長率(Y/Y)

中国で大きく低下傾向にあるのが中国不動産事業だ。中国のGDPの割合における不動産業が占める割合は高く、ゼロコロナ政策でコロナを抑え込んでいた21年前半は大きく成長した。一方、下期からは中国当局の不動産規制が厳しくなり、不動産価値の低下や購買力の低下につながっている。

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中国の住宅売上高は21年の上期を境に7期連続、前年比でのマイナス成長が続く。中国はそういった状況を踏まえ1月、2020年4月以来の50bps 金利の引下げ実施している。不動産の買手の金利支払いを押し下げる要因も市場の反応は鈍く、不動産業は低調傾向が続くなど、今後更なる金利引き下げの方向に走る可能性は高いと思われる。
いずれにせよ、中国は新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を維持しており、度重なる都市封鎖などが個人消費や生産活動の足を引っ張っていることは否めない。中国は今年の夏頃から一部の都市で実験的にコロナ緩和に走るとの報道もあり、金融緩和、経済対策に注目が集まる。

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住宅売上高

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