ECB理事会が今年3回目となる利下げを決定
10月17日、ECB理事会は0.25%幅での利下げを決定した。今年3回目の利下げとなる。ユーロ圏の直近のインフレ率が前年比1.7%にまで低下したことや、ユーロ圏経済の主力であるドイツとフランスで、夏場以降に期待された景気回復に出遅れ感が出ており、ECBが金利を高い水準に維持することが正当化されないと評価したことが理由と考えられる。
ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、ECBの今後の金融政策スタンスについては、明言を避けた。
理事会メンバーの意見は、割れているようである。ビルロワドガロー・仏中銀総裁は、地政学的リスクが予測不可能な状況であることから、インフレ率が目標である2%を上振れするリスクも下振れリスクも同じぐらいあると指摘したうえで、ECBは柔軟性を保つべき段階にあり、インフレ動向と景気の状況に応じて金利政策を判断するべきと発言した。ただ、彼自身は、景気抑制的な金融政策を採るべき時ではなく、その解除を続けるべきだと発言した。
ミュラー・エストニア中銀総裁は、インフレ率は目標の2%に向かっている段階にあると指摘し、ドイツとフランスを中心とした景気回復の鈍さは「ECBが現在の水準に金利を維持する必要がもはやないことを裏付けている」と述べた。
バスレ・スロベニア中銀総裁は、ディスインフレプロセスの勢いが増していることを、全てが示唆しているとインフレ抑制に楽観的な見解を示し、今後数カ月にインフレ率はやや上向くと政策委員会は見込んでいるが、来年は再び緩やかな低下の道筋に戻るとみていると語った。
一方で、マクルーフ・アイルランド中銀総裁は、ECBが利下げペースを加速させるとの見方を否定した。今回の利下げには、景気回復について、いくつかの予想外があったとの認識から判断したが、構造的な問題によるところが大きいと語った。
政策委員会では、今後数カ月は、インフレ率が再び上昇した後、来年前半には目標である2%水準に落ち着くと予想しているようである。18日、ECBが公表した四半期・専門家予測調査では、来年のインフレ率も通しは1.9%だった。長期の予想は2%とされた。
金融市場は12月理事会を含み、今後数回の会合で利下げが続くとの見方に傾いた。一部では、0.50%幅の追加利下げが行われるとの予想も出ている。
ECBによる12月の0.25%幅の利下げを完全に織り込んでおり、0.50%幅の利下げも約30%程度織り込んでいる状態である。