4月19日、イスラエルはイランの軍事施設に対して攻撃に踏み切った。
13日にイランが無人機やミサイルでイスラエルを攻撃したことへの報復で、中東での紛争拡大懸念が一段と広がった。金融市場では、イスラエルが報復するかどうかに注目していた。
イラン中部の都市イスファハンでは、19日午前に爆発音があったことを、イランのファルス通信が報じた。イスファハンは、イランが13日にイスラエルを攻撃した際に、無人機やミサイルを発射した拠点の一つだったと推測されている。イラン側はこれまで核濃縮やミサイルの重要施設があるイスファハンを含め、核・軍事施設を標的にした攻撃や妨害活動でイスラエルを定期的に非難してきた。なお、イラン国営テレビによれば、イスファハンにある核関連施設は無事とのことである。
イランのアブドラヒアン外相は18日(前日)夜に、報道インタビューで、イスラエルの政権がイランの国益に反する行動を取るなら、イランからの次なる対応は即時かつ最大レベルのものになると警告していた。また、イランは核施設を攻撃しないようイスラエルをけん制していた。
この攻撃の報道を受けて、アジア時間の取引で、原油相場は急伸した。中東は世界の原油供給の約3分の1を占める重要な産地である。中東での紛争が拡大すると、原油の供給に影響が出て、原油需給が逼迫するとの懸念から北海ブレントは、1バレル=87ドル前後から、一時、1バレル=90ドルを超えて取引された。
他には、安全資産と目される、金や米ドルへの選好度が上昇した。金相場は急伸し1オンス=2,410ドルの最高値近辺で取引が成立している。米ドルも主要通貨に対して買われ、ドル・インデックスは106.20近辺まで上昇した。
リスク資産である株には売りが強まった。日経平均株価は、一時37,000を割り込んだ。中国本土株のCSI300指数も3,540近辺と軟調に推移している。
両国間では非難の応酬が激しさを増しており、一段のエスカレートが懸念される。