59都市で価格下落
3月15日に中国国家統計局が2月の住宅価格調査の結果を発表した。新規住宅価格では、調査対象主要70都市のうち59都市で前月比で下落した。下落した都市の数は前月から3都市増えた。また、中古住宅価格は、68都市で下落し、上昇は2都市だった。下落数は前月1月と同じだった。
新築住宅価格自体は、2月は前月比で0.36%低下した。1月は同0.37%下落だった。中古住宅価格も2月は前月比で0.62%低下し、1月の同0.68%からは下げ幅がわずかに縮小した。
デフレ圧力
不動産価格の低下傾向は、潜在的な住宅購入者の買い控えにつながり、販売不振がさらなる価格の低下を招く負のスパイラルを形成している。これは、手元資金が細っている不動産開発会社の債務返済を困難にし、流動性危機が不動産市場を更に悪化しかねない危険を孕んでいる。
中国は不動産市況の低迷が景気の下押し圧力となっており、住宅の価値下落を食い止めることは、潜在的な住宅購入者の需要を回復させる鍵となる。中国当局は市中銀行には不動産開発会社への融資を促し、地方政府には住宅購入者に対する規制緩和を認めることで、不動産市場への支援姿勢を鮮明にしている。しかし、1月の新築住宅販売数は前年同月比で60%減少しており、新築住宅販売に回復の兆しは依然見えていない。
流動性に苦しむ不動産開発企業
不動産開発会社では、中国恒大集団は1月に香港高等法院(高裁)から清算命令を受け、碧桂園が2月に香港で清算を申し立てられた。売上げ第2位の万科企業は、2月の契約販売額が前年同月比で53%減の140億元と6年ぶりの販売水準に落ち込んだ。深刻な販売不振で、万科の資金繰りは一段と厳しくなることが懸念されており、デフォルト(債務不履行)を回避するために、主要債権者らと債務スワップ案を協議しているとされるものの、リスクは増大している。
中国の倪虹住宅都市農村建設相は、中国は住宅市場の安定という「厳しい課題」に直面していると認めた。中国の不動産市場では、厳しい状況が続く。