中国の金融行政・監督の仕組みを改変
中国国務院(内閣にあたる)は、5月18日、国家金融監督管理総局(NFRA)を新設した。NRFAは国務院直属の政府機関として設置され、中国国内の金融業界を一元的に監督する。これまで、銀行や保険会社を監督してきた中国銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に代わる組織となるほか、証券業務を監督し、証券取引を管轄していた中国証券監督管理委員会(証監会)の業務もNFRAに引き継がれる。中国人民銀行(中央銀行)が担っていた、金融機関への指導などもNFRAに引き継がれ、金融分野におけるあらゆる活動を管理監督することになる。
NRFA局長には、李雲沢氏が任命された。四川省副省長だった李氏は、先週、党委書記への就任が発表され、NRFA局長就任は確実視されていた。4人のNFRA副局長は、全て、中国銀行保険監督管理委員会の副主席が横滑りして就任した。NFRA発足式では、李局長が、実体経済への貢献、金融リスクの管理、金融改革の深化という3つの主要任務に全力で取り組むと挨拶した。また、金融規制の隙間や盲点をなくすよう努める方針と、システミックリスクを回避する責務を断固として果たす決意を表明した。 中国では、金融分野でも、規制が長く存在しなかった業務があった。それを縫って、デジタル金融や電子決済が大きく発展したという側面がある。ところが、IT業界への締め付けが厳しくなるとともに、こうした業務にも規制がかかり、この数年は方針が明確でなかったことで、業界の発展は止まっていた。当局としては、規制や監督方針などルールを明確にすることで、発展を促そうとの考えであろう。