香港・中国市場Dairy ~ 香港ハンセン指数は6日ぶりの反発、オフショア人民元は対ドルで過去最大の上昇
ハンセン指数 15,317.67 pt (+1.00%)
中国本土株指数 5,217.54 pt (+0.72%)
レッドチップ指数 3,093.57 pt (▲0.94%)
売買代金1,307億5百万HK$(前日1,434億5万HK$)
25日に発表された米消費者信頼感指数(10月)は、102.5と市場予想を下回り、前月からも低下し過去7カ月で最低水準を記録した。特に期待指数は78.1と80割れとなり、景気後退リスクを示唆する内容となった。個人消費が7割を占める米国経済で、消費者信頼感指数の低下は、需要の鈍化を示唆しており、今後インフレ圧力が弱まることが期待される。これを受けて、金融引き締めペース鈍化の思惑から米国株価は急伸した。これで米国主要指数は3日続伸となった。
金融市場では、短期金利が最も高くなる金利 (ターミナルレート)が5%を割り込み、為替市場ではドルインデックスが1ヶ月ぶりの安値水準に落ち込んだ。ドル軟化は、中国人民元安も一服つかせ、対ドルベースで1ドル=7.20元台まで回復した。前日、オフショア人民元は1ドル=7.37元台と2008年以来の水準まで低下していた。中国人民銀行は25日、中国国家外為管理局(SAFE)と共に声明を発表し、中国は人民元の柔軟性を高め、元の基本的な安定を維持し、投資家の信頼回復に努める姿勢を示した。先週末までの共産党大会のトーンとは打って変わった情報発信に、市場はやや困惑しているようである。今後、政府がどれだけ真摯にマーケットと向き合うかによって、人民元や中国株価の方向感が出るだろう。
26日の香港市場は前日まで、終値ベースで約13年6カ月ぶりの安値を更新する軟調な展開だったこともあり、ハンセン指数が午前中だけで前日比2%強反発する場面もあった。ただ、上値は重く、中国共産党新指導部の経済政策への不透明感は強く、午後には上げ幅を縮小し前日比1.00%高の水準で引けた。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は、反発の勢いの中、市場をアウトパフォームし、前日比2.48%高と続伸した。ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は11.3%高、オンラインゲームの金山軟件(3888)は10.6%高だった。自動車関連株も買い戻され、新興メーカーのNIO(9866)は10.5%高、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は9.9%高、理想汽車(2015)は4.0%と上げ幅が目立った。
主要銘柄も買い戻されフードデリバリーの美団(3690)は5.0%高、香港取引所(0388)は4.3%高、バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)は3.4%高だった。
一方、不動産関連株は連日軟調な動きが続き、不動産開発の恒隆地産(0101)は6.5%安、華潤置地(1109)は4.1%安、龍湖集團(0960)は3.9%安、中国海外発展(0688)は3.5%安となった。
本土株市場は上海総合指数が前日比0.78%高の2,999.50、CSI300は同0.81%高の3,656.90で引けた。急落した人民元相場が元高方向に振れたことが買い材料として取り上げられた。一部では中国の国有銀行がオンショア、オフショアの両市場で米ドル売りを実施したとの観測も流れていた。
まだ安定を取り戻した相場展開とは言えない。猫の目のように変わる相場に一喜一憂するのではなく、悲観ばかりではない大局観をもって、相場に入るタイミングを計るべきだろう。ターミナルレートの議論にしても、やや度が過ぎた面はある。インフレ率が落ち着くことがベストだが、世界的に急ピッチで政策金利が上昇した効果は、それなりに出始めるのではないだろうか。