香港・中国市場Dairy ~ 新EV自動車の免税延長措置発表を受け自動車株が大幅高、香港市場は4営業日ぶりに反発
ハンセン指数 20,165.84 pt (+0.05%)
中国本土株指数 6,876.71 pt (▲0.13%)
レッドチップ指数 3,665.95 pt (▲0.76%)
売買代金1,148億9百万HK$(前日1,296億4万HK$)
週明けの香港市場は、中国の景況感悪化を受けた売りに押され、ハンセン指数は一時サポートラインとなる20,000ポイントを割りこんだ。しかし、午後に入ると、値ごろ感から買い戻され前日比0.05%高と小幅に4日ぶりの反発となった。ただ中国本土の不動産開発業者の債務問題が引き続き重荷として意識されたほか、米国の対中国姿勢も意識され神経質な展開だった。
中国国務院は29日に開いた常務会議で、22年末に期限を迎える新EV自動車の購入税免除を延長する方針を発表した。自動車購入に絡む規制を緩和することも併せて指示しており、自動車購入促進を通じて、需要を喚起する意図がみえる。今年下期には、一部ガソリン車の購入税も本来の10%から5%に減額する措置を公表しており、消費拡大を後押しする姿勢は明確である。
一連の発表を受け、自動車関連銘柄が大幅高となった。民間自動車メーカーの吉利汽車(0175)は12.9%高、長城汽車(2333)は10.0%高、新興EVメーカーのNIO(9866)は8.2%高、中国自動車の小鵬汽車(9868)は6.7%高、理想汽車(2015)は6.3%高となった。バッテリー、電子部品など関連銘柄も買われ、光学部品メーカーの舜宇光学科技(2382)は5.3%高、データセンサーの万国数拠(9698)、電子部品の比亜迪電子(0285)が目立った。
一方、個別ではEコマース大手のアリババ(9988)は連日の大幅安となり、前日比3.7%安で引けた。米国証券取引委員会(SEC)は29日、同社の会計監査を中国当局が認めていないとして、上場廃止警告リストに追加した。今回の発表では外国企業説明責任法(HFCAA)に抵触する上場企業の暫定リストに、アリババを含む4社が追加された。アリババは1日朝方、引き続き「関連法規を遵守しつつニューヨーク証券取引所と香港取引所の両方での上場ステータスを維持するよう努力する」と表明した。
不動産関連株も連日の下落となった。1日、発表された7月の住宅販売は前年比39.7%減の5,231億元、政府による購入促進の取り組みにもかかわらず需要は低調なままとなった。不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は前日比9.9%下落、不動産開発の恒隆地産(0101)は同5.6%安、碧桂園(2007)は同3.9%安だった。
中国本土市場は上海総合指数は前日比0.21%高の3,259.96、CSI300指数は0.45%高の4,188.68だった。取引序盤はマイナス圏で軟調に推移したが、午後に入って下げ幅を縮め小幅高で引けた。中国当局の追加刺激策の期待が相場を押し上げ、関連銘柄が大幅高となった。
中国景況感指数は市場予想を下振れ
中国国家統計局が31日発表した、7月の製造業購買担当者指数(PMI)は47.0と市場予想(50.0)を下回り、節目の50を2カ月ぶりに割り込んだ。前回(50.2)の6月には景気回復の兆しも出ていたが、中国本土の新規感染者は7月に入ってリバウンド基調が続き、市場の需要不足が響いたと考えられる。内訳では生産、新規受注、雇用を示す指数がいずれも50を下回った。また1日発表された7月の財新製造業PMIについても市場予想(51.5)、前回(51.7)を下回り50.4だった。
非製造業PMIについても53.8と前月(54.7)から低下、ロックダウンへの懸念や、消費者心理の低迷により、中国経済の回復への道のりはより長くなる可能性が指摘されている。
中国の生産活動は予想外の縮小に転じ、散発的な新型コロナウイルスの拡大による人流の制限や、中国不動産セクターの信頼失墜による不動産販売の減少も続き、景気回復の脆弱が浮き彫りとなった。
中国本土の新規感染者は31日には277人と2日ぶりに減少した。ピークの1,000人超から落ち着きをみせている。マカオについては市中陽性者が9日連続ゼロと減少傾向が維持されているが、突発的な発生による制限が危惧される風潮が続くことも、株式市場にはネガティブに働くものと考えられる。