香港・中国市場Dairy ~中国経済対策の期待から中国・香港市場は大幅高
ハンセン指数 21,273.87 pt (+1.26 %)
中国本土株指数 7,463.08 pt (+1.75%)
レッドチップ指数 3,792.19 pt (+1.00%)
売買代金1,205億6百万HK$(前日1,269億4百万HK$)
23日の香港市場は昨日の大幅安から一転して買いが先行し、ハンセン指数は前日比1.26%高で引けた。パウエルFRB議長の議会証言を材料として無難に消化し、株式市場では買い戻しが優勢な展開となった。更に、中国政府が経済と消費を促すための追加政策の実施に前向きなコメントもフォローの風となった。中国経済の回復に対する期待は根強く、中国・香港市場は底堅い展開となった。これに中国政府の経済支援に対する強いコミットメントが加わって、当面、米国市場との連動性が薄い、しっかりした展開を予想している。
中国政府内の動きに中国本土株はポジティブに反応
中国本土株については上海総合指数が、前日比1.62%高の3,320.15と4日ぶりに反発し、CSI300も同1.72%高の4,343.88で引けた。朝方は前日比マイナス圏で推移していたが取引時間中に、習近平国家主席が、多数のアナリストが「届かない」と指摘する2022年のGDP成長目標を達成するとコメントしたことが下支えした。
中国政府は今年3月に開催した全人代で2022年のGDP成長率の目標を5.5%前後と置いた。2022Q1(1-3月)のGDP成長率は前年比4.8%だったが、22Q2のGDP予想はロックダウンの影響が色濃く、直近で同1.5%程度(前回予想:同3.0%)の成長まで落ち込んだ。このため、投資銀行などのエコノミストは、今年のGDP成長率予想を4.0%水準まで引き下げている。既に6ヶ月を経ており、ここから成長率を押上げて、年率5.5%を達成することは非常に厳しいようにも思えるが、本日の習近平主席の強気の発言は、際立っている。
中国自動車関連株の買いが続く
22日に開催された国務院常務委員会では、自動車購入を促す政策を実施することを決定した。李首相は、今年末に期限を迎えるEV車購入税(現行10%)の免除措置や中古車購入の補助など多数の施策を発表した。これらにより、中国の自動車販売および関連消費を約2000億元(300億ドル)押し上げることを目指すという。この報道を材料に、電気自動車の理想汽車(2015)、小鵬汽車(9868)は揃って前日比9%高、吉利汽車HD(0175)は同7%高と上昇した。中国当局は強力な景気対策を今後も相次ぎ打ち出し、22Q2から落ち込んだ経済の成長を促す模様だ。
フィンテック企業の健全な発展に向けた支援策を承認
22日、習近平主席は中央全面深化改革委員会の第26回会議を主宰し、中国国内の決済大手やフィンテック企業の健全な発展に向けた支援策を承認した。アリババ傘下のアント・グループなど、テクノロジー企業に対する幅広い締め付けが緩和される一連の動きに呼応するものと言えるだろう。
アント・グループに関しては月内にも金融持ち株会社の設立申請が認可されるとの報道が先週末に出ていた。同社は2020年に上海と香港で上場を計画していたが直前で頓挫、6月10日に再度、IPOの復活を検討していると報じられたが中国証券管理委員会がすぐに否定していた。アリババはアントの発行済み株式の約3分の1を保有している。中国政府指導部が来月の予定でアント社の上場申請を暫定的に承認したという観測もあり再び同社の買いが集まった。アリババ(9988)前日比6%強の上昇となった。
パウエルFRB議会は積極的な引き締め姿勢を堅持
22日、パウエルFRB議長は議会証言に出席した。直近のインフレ指標は利上げペースを加速する上で「適切」だとの判断を示し、今後もデータに注視し躊躇なく利上げを実施すると発言した。一方で、米国経済については極めて力強く実質金利がマイナスになることはごくわずかであることも述べた。実際、ここ数日は米投資銀行などから米国経済がリセッションに落ち込む可能性を警告する発表が相次いだが、それには与しないものと考えられる。政治の動きでは、バイデン米大統領が、連邦ガソリン税の3カ月停止を議会に要請した。記録的な価格高騰に対処するともみられ、引き続き物価高騰を抑え込めるかに注目が集まる。
世界的なインフレ懸念の高まりは、引き続き各国中銀の利上げの動きを加速させるだろう。フィリピン中央銀行は23日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である翌日物借入金利を25bps引き上げ、年2.50%にすると決定した。利上げは2会合連続となる。ノルウェー中央銀行も事前予想の25bp幅を上回り、政策金利を0.75%から1.25%に50bp引き上げた。各主要銀の急ピッチの利上げペースは来月以降も続くと考えられ、グローバルには、今後もインフレ高進への懸念とリセッションへの怖れにより不透明感漂う展開は続くだろう。