欧州中央銀行(ECB)は9月10日、今年2回目の利上げを決定した。イラン戦争に伴うエネルギーコストの上昇を主因とするインフレ加速を抑え込むことを重視した利上げである。
主要政策金利の中銀預金金利は2.25%から2.50%へ引き上げられた。インフレ率は当面、目標の2%を上回る水準で推移するとの見通しも示した。
ECB声明では「中東紛争は引き続きインフレ圧力を生んでおり、インフレ率は目標を大幅に上回る水準で長期間推移する見込み」と指摘。「見通しは依然として極めて不透明で、インフレには上振れリスク、経済成長には下振れリスクがある」とした。
想定を上回る経済の底堅さと、燃料コスト上昇が物価に及ぼす影響を踏まえ、成長率とインフレ率の見通しを一部上方修正した。
2026年の経済成長率見通しは、6月時点の0.8%から0.9%にへ引き上げた。2027年は1.4%、2028年は1.5%と見込む。一方でインフレ率は2026年に3.0%、2027年に2.5%、2028年に2.1%になるとの見通しを示した。ただ、今回の予測には、多くの欧州諸国が暖房用に依存する天然ガスをはじめ、足元のエネルギー価格急騰が十分に反映されていない可能性がある。
今後の政策運営について具体的な示唆は示さず、入手するデータに基づいて判断するとの従来の方針を繰り返すにとどめた。
金融市場では、今回の利上げを事前に織り込んでおり、利上げ発表前に長期金利を中心に上昇した。フランスの30年国債利回りは2003年12月以来の高水準となる5.085%を付けた。10年国債利回りも4.3443%と2008年10月以来の高水準となった。ドイツの30年国債利回りは3.8981%、10年国債利回りは3.4482%となり、いずれも2011年4月以来の高水準を付けた。市場でのインフレに対する警戒感は強く、中東情勢の緊迫が続く限り金利のじり高は続く公算が高い。