消費者物価指数の伸び鈍化
米労働省が14日に発表した6月の米消費者物価指数(CPI)は伸びが鈍化し、米連邦準備制度理事会(FRB)が今月の会合で利上げを見送るとの見方が市場で強まった。
6月のCPIは前年同月比3.5%上昇となり、5月の4.2%から伸びが鈍化した。市場予想の3.8%も下回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前年同月比2.6%上昇し、5月の2.9%から低下した。
早期利上げ懸念は後退
これを受けて、金融市場では、早期利上げに対する不安は後退した。フェデラルファンド(FF)金利先物相場では、7月28~29日の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイントの利上げが決定される確率は10%程度まで低下した。CPI統計発表前は35%だった。9月15~16日のFOMCで利上げが実施される確率も90%超から約60%へと大きく低下した。ただ、人工知能(AI)関連投資ブームや個人消費の持ち直しを示すいくつかの兆候からは、米国経済に持ち直しの傾向が見られる。それらを踏まえると、コアインフレ率は、当面FRBの目標である2%を上回る水準で推移する可能性が高いとみるべきだろう。
FRB高官は慎重姿勢を維持
6月のCPI上昇率が鈍化したことを受け、FRB高官らは同統計を歓迎する一方、物価圧力が持続的に和らいでいると判断するには、今後数か月同様のデータがさらに得られることが必要だとの認識を示した。
ウォーシュFRB議長とグールズビー・シカゴ地区連銀総裁は、目先の利上げを正当化する根拠は弱まった可能性があるものの、完全に消えたわけではないことを示唆した。両氏はいずれも、今回のCPIが今後の利上げ判断に与える影響については直接言及しなかった。
ウォーシュ議長は、議会下院金融サービス委員会で行った就任後初の証言で、今回の統計をインフレ抑制の進展を示す決定的な証拠として受け止める考えはないと説明した。「今回のCPI統計を見て『任務は達成された。すべて順調だ』と考える人もいるかもしれないが、私はそのような見方はしていない」と述べた。その上で、「取り組むべき課題はなお多い。意思決定の判断材料としてより良いデータが得られれば、より確信を持てるだろう」と語った。
FRBの今後の金利経路については、フォワードガイダンスを示さない考えを強調し、インフレ対応として追加利上げが必要なのか、あるいは金利を高い水準で長期間据え置くことが必要になるのかについては明言を避けた。
同議長は、FRBの政策手段を「どの程度、どのタイミングで活用する必要があるのかについて、内部で十分に議論していく」と述べた。3時間に及んだ公聴会では、物価安定の実現に向けたFRBのコミットメントを10回以上にわたり繰り返し強調した。
グールズビー氏も、今回のインフレ統計が次回の政策金利決定にどのような意味を持つのかについて、慎重な姿勢を示した。同氏はウィスコンシン州ケノーシャで行った講演で、今回の指標は「驚くほど良好」で「勇気づけられる」内容だったと評価した。一方で、同様の傾向が数カ月にわたって続けば「より安心できる」と述べ、「本日のCPIには勇気づけられているが、順調に進んでいると判断するには、1カ月分を大きく上回るデータが必要だ」と強調した。