FF目標レンジは3.50-3.75%に据え置き
米連邦公開市場委員会(FOMC)は28、29両日に開いた定例会合で、主要政策金利の据え置きを決定し、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジは3.50-3.75%で維持された。同時に、FOMCの声明文には、将来の利下げ再開についての含みは残した。一方で、今回の決定に4人が異議を唱え、うち3人は政策金利の据え置き自体は支持したが、声明文に盛り込まれた将来的な利下げ再開を示唆する点には異を唱え、中東での紛争に伴う不確実性の高まりを背景に、FOMC内でも政策見通しを巡る意見の相違が鮮明になった。そして、パウエル議長については、議長退任後もFRB理事の職務を続ける意向を表明した。
金融市場の解釈としては、トータルで見ると、FOMCは「タカ派」の金融政策スタンスを維持するとの見方が強まって、FOMCの材料を消化した。
FOMC声明のポイントをまとめると以下の通り。
今回のFOMCでは、2つの目標達成を支えるため、FOMCはフェデラルファンド(FF)金利誘導目標のレンジを3.5-3.75%に据え置くことを決めた。
最近の複数の米国経済指標は、経済活動が堅調なペースで拡大していることを示唆している。雇用の伸びは低いまま維持されているが、平均すると、失業率はここ数カ月ほぼ変わらずで推移している。一方で、インフレ圧力は高止まりしている。これは最近の世界的なエネルギー価格の上昇を一部反映している。
FOMCは、雇用の最大化とインフレ目標である2%を達成することに強くコミットしている。FOMCはこの2つの責務の両方に対するリスクに注意を払っているとした。そして、従来は、「中東情勢が米経済に及ぼす影響は不確実だ」としていた文言を若干修正し、「中東情勢は経済見通しに関する不確実性の高さにつながっている」と記述した。FF金利誘導目標レンジに関しても「追加的調整の程度とタイミング」に関する文言は維持した。
FOMCは経済見通しに影響を与える今後の情報を引き続き監視する。FOMCの目標達成を妨げる可能性のあるリスクが出現した場合、FOMCは必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある。FOMCは労働市場の状況、インフレ圧力やインフレ期待を示す各指標のほか、金融・国際情勢などを幅広く考慮して判断する。
反対票4票の意味
今回の金融政策措置に対し、パウエル議長とウィリアムズ副議長、バー連邦準備制度理事会(FRB)理事、ボウマンFRB副議長、クック理事、ジェファーソンFRB副議長、ポールソン総裁、ウォラー理事が賛成した。
今回の決定に反対票を投じたのはマイラン理事で、FF金利の誘導目標レンジを今会合で0.25ポイント引き下げるよう求めた。他の3人は、ハマック総裁とカシュカリ総裁、ローガン総裁で、彼らはFF金利の誘導目標レンジ据え置きの判断は支持したものの、今回のFOMC声明に緩和バイアスを含めることを支持しなかった。ちなみに、4人の反対があったのは、1992年10月のFOMC以来である。
パウエル議長はマイラン理事以外の反対意見について、FOMCにおける中心的な見解が「より中立的な方向に移りつつある」という事実を反映していると説明した。それだけインフレ動向に注意を払わなければならないという意識が強まっているということである。一方で、「現時点でその方向性(=インフレリスク重視への転換)についてシグナルを送る必要はないと過半数が判断した」と述べた。
市場は「タカ派」シフトを織り込み
今回のFOMCでは、現在の状況を、昨年緩和した金融政策を維持し、様子を見る段階と判断しているのであり、将来は雇用の最大化とインフレ目標の達成度合い次第と述べているわけだが、金融市場はややインフレリスク重視であると読み込んだのであろう。
目先の金融政策見通しを反映する短期債利回りは、FOMCの決定後に上昇した。市場はタカ派=インフレ重視的な反対意見に注目したといえる。2年債利回りは一時前営業日比0.11%上昇して3.95%をつけた。2027年の利上げ予想はむしろ強まり、来年4月までに0.25%の利上げを50%程度織り込んだ。このため、為替市場では米ドルが主要通貨に対して上昇し、ドル円では1ドル=160円を超えて円安が進行した。日本政府・日銀のリアクションが注目される。
パウエル議長の去就
なお、FRB議長として最後の記者会見に臨んだパウエル氏は、議長交代後も「理事として目立たない形で職務を果たすつもりだ」とし、FRB理事の職務を続ける意向を示した。議長としての任期は5月15日に満了するが、理事としては2028年1月まで在任が可能である。
前週末に複数の司法省当局者から、FRBの内部監査機関が勧告しない限り刑事捜査を再開しないとの説明を受け、ワシントンの連邦検事正が必要に応じて捜査を再開する可能性があると述べている点にも、パウエル氏は言及した。パウエル氏は「この捜査が透明性を持ち、真の意味で最終的に完了するまで理事会を離れないと述べてきたが、その考えは変わらない」とし、「適切だと判断した時点で退任する」と述べた。このあたりは、政治的な動きも匂わせるところである。
米上院銀行委員会は4月29日に、トランプ大統領が次期FRB議長に指名したウォーシュ元理事を、賛成多数で承認済みである。5月15日までに、上院本会議での採決が行われる見通しである。