景気失速懸念からパニックとなったグローバル株式市場

米国経済腰折れ懸念からリスク回避へ

週明けの米国株式市場は、大幅に値を下げる展開で始まった。7月31日の米FOMCでは、政策変更が見送られたが、8月2日に発表された雇用統計が雇用市場の軟化を示唆するものだったことを受け、米国経済の先行き懸念が急速に広がった。また、アマゾンやインテルが発表した業績見通しが冴えない内容だったことから、第3四半期の企業収益全般への不安が広がった。

これまでは、米FRBが米国経済の「ソフトランディング」を実現させ、企業利益は増加を続けるとのゴルディロックスシナリオが相場を支配し、楽観論に傾きがちで、7月の相場は、小刻みに過去最高値の更新を繰り返していた。しかし、雇用統計をきっかけに先行き不安心理が一気に増大したと言える。中には、FRBが高い水準に長く金利を維持しすぎて、インフレの抑制に成功したものの、雇用市場を過度に冷え込ませ、景気後退リスクを高めたとの恨み節も聞かれた。

8月5日、S&P500指数は、先週末の5,346から5,186まで終値ベースで下げ、今年5月30日以来の安値を付けた。ダウ平均も39,737からさらに38,703まで下げた。ナスダック総合指数も先週末の16,776から16,200へと一段と下げた。先週末の時点で、ナスダック総合指数とナスダック100指数の終値は、7月高値から10%超下げており、一般に調整局面入りしたとみなされることも悲観論を増幅したようである。相場の不安心理を表すと言われるS&P500 指数のボラティリティー・インデックス(恐怖指数・VIX)は、瞬間最大風速ながら55.07まで一時上昇した。これは、2020年3月のパンデミック以来の高い水準である

8月6日、米国株式市場は、主要インデックスが小反発し、悲観論一色のパニック売りは収まった感がある。しかし、8月の株式相場は、米国経済の先行き懸念、企業業績の縮小といったリスク要因に神経質な展開となるだろう。年後半は要注意と申し上げてきたが、想定よりも早く、波乱はやってきた。こうした不安心理は、当面、リスク選好度を低下させることになろう。

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