中国の物価は6月も伸び悩み
7月10日、中国国家統計局が6月の物価指数を発表した。
消費者物価非数CPIは、前年同月比で0.2%上昇、前月は同0.3%上昇だった。前月比では0.2%下落、5月の前月比は0.1%下落だった。CPIはこれで、前年同月比では5カ月連続でプラスとなったが、過去3カ月で見ると伸びは最も低く、デフレ圧力は、緩和に向かっていないと言えるだろう。CPIの伸び悩みは、デフレ圧力が引き続き景気回復の妨げになっていることの現れであろう。
生産者物価指数PPIは、前年同月比で0.8%低下にとどまったが、これは比較対象となる前年同月の指数が低かったことが要因で、2022年後半から続く、低下トレンドを脱していない。5月PPIは同1.4%低下だった。
これだけ物価指数の動きが弱いということは、内需の弱さを反映している。中国のデフレリスクは後退していない。中国経済は、今年に入って業種によるばらつきが大きくなっている。製造業を中心とする生産サイドには明るさが見えるが、耐久消費財価格は工場出荷段階で下落が続いており、過剰な生産能力が深刻な供給過剰をもたらし、物価が下落するという結果に結びついている。
雇用市場も若年労働者を中心に低迷しており、肝心の不動産市場も回復への道筋は見えず、財布の紐は固いままで、消費の足を引っ張っている。長期的には中国経済をけん引役する内需(消費)の回復が必須だが、それを持ち直しの動きにつなげる効果的な起爆剤は見えていない。