地方政府も不動産需要喚起策で追随 ~ 中国主要都市政府が対策を発表

上海市や深圳市の政府に動き

5月27日、上海市政府は、住宅ローンの要件を緩和すると発表した。上海市政府の声明によると、住宅ローンの頭金比率を10%引き下げ、初回の住宅購入者に対する頭金比率は最低で20%まで緩和される。また、住宅ローンに適用される金利の下限も引き下げられた。

28日には、上海市に続いて、広東省の深圳市や広州市もこれに追随した。中国人民銀行の広州支店が発表した声明では、広州市は初回の住宅取得者に課す住宅ローンの頭金割合の要件を、購入価格の15%まで引き下げられた。広州市は、住宅購入に必要な社会保障や個人納税の記録に関する規定も緩和するという。

中国中央政府は、5月17日に、不動産市場のテコ入れのために、住宅需要の換気に向けて、住宅ローン金利の下限を撤廃し、住宅購入者の頭金比率の下限を引き下げる追加政策を打ち出した。今回の主要大都市政府の動きも、その方針をフォローするものである。

ただ、金融市場が今回の一連の対策を評価したとは言い難い。28日の中国株式市場では、不動産デベロッパー株指数は、一時、前日比2.4%高となる場面もあったが、結局は下げに転じ、終値は同1.9%安だった。中国本土株の指標CSI300指数は、同0.7%安で引けた。香港に上場している不動産開発企業も、株価は乱高下した。

今回の住宅需要喚起策に関しては、短期的にセンチメントを改善する可能性はあるが、住宅の販売状況が底打ちするかどうかは不透明との評価が多い。中国の不動産市場には、長期的な構造問題が多く残っていると考えられており、市場が改善の斗に付き、持続的な成長に向かうことへの疑念が払拭できないとの見方が大勢である。

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