ナスダックは、先週、最高値更新だが・・・
先週の米国株式市場は、引き続き、米FRBの利下げに対する見方が流動的なことから、それに振り回されるような展開だった。
ナスダック総合指数は、前週比1.41%高の16,920.79で引け、終値ベースでの最高値を更新した。S&P500は同0.03%高にとどまったものの終値で5,300を上回り、5,304.72で週末の取引を終えた。一方で、ダウ平均は同2.34%安の39,069.59で引け、主要3指数がまちまちの動きとなった。先週木曜日には、利下げ期待が一段と後退する中、株価が大きく下げる荒れた相場となったが、金曜日の指標で消費者のインフレ期待が後退したことを受け、利下げ期待が回復したことで株式市場のセンチメントは維持された。ただ、今週27日は、メモリアルデーのため休場となるため、商いは薄かった。
24日に発表された4月の耐久財受注は前月比0.7%増と、事前予想の減少に反して堅調だった。5月のミシガン大学消費者信頼感指数(確報値)は69.1で速報値の67.4から上方修正された。いずれも消費者のセンチメントはそれほど悪化していないことを示唆するものと受け止められた。また、1年先のインフレ期待も速報値の3.5%から3.3%に低下し、4月の3.2%とほぼ同水準で、インフレ見通しも市場が警戒していた利下げ期待をかき消すものではなかった。米FRBが利下げを開始するとの期待は維持され、米国経済が失速する事態にも陥らないとの『ゴルディロックスシナリオ』が株価を支えている。
最近の米FRB高官の発言によれば、米国のインフレ圧力は緩和に向かっている確証がなく、金融緩和へ舵を切ることを正当化するほどの材料はない。米国経済は、力強さを維持しており、緩和をすぐに開始するような判断には傾いていない。米FRBの利下げ開始予想は、従来のシナリオから後ろ倒しされており、7月FOMCでの利下げシナリオは大きく後退して、9月FOMCでの利下げ判断に傾きつつある。
今週は、5月31日に発表される個人消費支出(PCE) に注目が集まる。コア価格指数は、前月比+0.3%、前年比+2.8%との予想で、2024年で最も小幅な伸びとなるとの見方がある。CPIやPPIでもやや弱いデータだったため、PCEコア価格指数がこの予想をさらに下回るようなことになると、利下げ期待を支えることとなり、ゴルディロックスシナリオは強まるだろう。
なお5月28日の取引からは、米国での証券取引の決済日が、約定日の翌営業日となる『T+1』が始まる。米国株を取り引きされている方はご注意いただきたい。