中国国家統計局は5月11日に4月の物価統計を発表した。
消費者物価指数(CPI)は、前年同月比で0.3%上昇で前月3月の同0.1%上昇から、上げ幅を拡大した。生産者物価指数(PPI)は、前年同月比2.5%低下だった。3月の同2.8%低下からは、低下幅を縮小したが、これで、PPIは19カ月連続のマイナスを記録し、物価への下落圧力が継続していることがうかがわれる。
このところ、生産部門には回復の兆しがあるうえ、底堅い海外需要から輸出は堅調で、中国経済にも明るさは出てきている。5月9日に中国税関が公表したデータによると、4月の鉄鋼輸出は922万トンで、900万トンを上回る水準を維持した。輸出はドルベースで前年同月比1.5%増加と、3月の同7.5%減少から大きく持ち直した。今月初めの労働節の連休には、消費にもプラスの面が出てきた。しかし、物価の下落は、デフレ圧力が中国経済を脅かしていることを示唆している。不動産市場では、価格下落圧力は続いており、不動産の購入意欲を削いでいる。
市場反転の「きっかけ」となるような、先行き不透明感を払拭するシグナルが必要だろう。雇用にも拡大はみられず、家計支出の拡大が持続化するかどうかも定かではない。モノにもサービスにも、需給ギャップは依然大きく、これは、中国経済の構造的な乖離に由来する可能性がある。政策支援は継続しているが、どれだけ効果的に実施されるかも、ポイントだろう。
そうした「きっかけ」となるかもしれない政策が住宅購入規制の撤廃だろう。先週、杭州市や西安市では、地方政府が住宅購入規制を撤廃するとともに、住宅購入を希望する者に資格審査を行わないとの方針を発表した。他の都市でも、こうした住宅購入規制の撤廃を検討しているとの報道もあり、同様の動きが拡大するとの期待感が強まっている。
これを受けて、5月10日金曜日の中国本土株式市場では、不動産関連銘柄が大幅に上昇し、不動産株価指数は続伸した。香港取引所でも、中国不動産開発業者株は、大幅に価格上昇した。中国当局の動きが、市場のポジティブな見方に強まるかどうかに注目したい。