PCE価格指数(2月)
3月29日、米国商務省が発表した2月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年同月比2.5%上昇だった。1月は2.4%上昇だった。前月比では0.3%上昇で、1月分は同0.4%上昇に上方修正された。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前年比2.8%上昇だった。伸び率は2021年3月以来、2年11カ月ぶりの低水準を記録した。1月は同2.9%上昇だった。前月比では0.3%上昇で1月の同0.5%上昇からは減速した形となった。
FRB首脳が「スーパーコア」として注目する住宅・エネルギーを除くPCEサービス上昇率は前月比0.2%でこれも1月の同0.7%から鈍化した。
個人消費支出は前月比0.8%増で、伸び率は2023年1月以来の大きさとなった。1月の同0.2%増から伸びが拡大した。
数値は予想したほど低くはなかったが・・・
この発表を受けて、パウエル議長は、サンフランシスコ地区連銀での公共ラジオ番組のインタビューに応じた。パウエル議長は、2月のPCE価格指数は、昨年下半期に得られたインフレについての良好な数値ほど低くはなかったものの、FRBの「期待に沿った」内容だったとの見解を示した。パウエル氏は先週、PCE価格指数の伸びが0.3%を「かなり下回る」との予想に言及していたが、そうはならなかった。ただ、2月の結果がFRBの基本的な見通しを損なうものではないと言及したのである。そして、今回の結果に「過剰に反応することはない」と断言して、年内の利下げという基本方針には、変わりがないことを示唆した。これは、3月FOMC後の記者会見の内容に沿ったものでもある。
利下げは急がず
現在の米国経済の状況は力強く、雇用市場も堅調であり、インフレ率は緩やかに縮小傾向にある。そして、FRBの目標である年2%のインフレ目標は上回っていることは事実である。したがって、「非常に重要な利下げ開始の決定」を急ぐ必要はなく、利下げを開始する前にインフレ率が鈍化する道筋がついていることを「確認する必要がある」と述べた。
パウエル議長は、4月3日も講演する予定である。金融政策見通しについては、スタンスを変えることはないと予想する。また、3月雇用統計も発表されるが、こちらも大きなサプライズは予想していない。