3月18日中国国家統計局は、1-2月の主要経済統計を発表した。
○鉱工業生産
鉱工業生産は前年同期比7.0%増加した。伸び率では昨年12月に記録した同6.8%から加速した。生産面では堅調さを維持したと言えるだろう。
○小売売上高
小売売上高は、前年同期比5.5%増加となったが、昨年12月の同7.4%増からは伸びが鈍化した。今年2月は昨年よりも1日多い8日間の春節休暇だったことで、春節関連の支出で個人消費が一時的に押し上げられ、特に行動制限可だった昨年対比では、旅行需要が大きく回復し、観光・接客部門が伸びた。これは、2月に消費者物価がプラスに転じたこととも符合しているが、春節休暇の支出増加による押上げ効果が大きく、今後も個人消費が伸びを維持するかが焦点となる。
○投資
固定資産投資は前年同期比4.2%増加した。2023年通年では前年比3.0%増加だった。民間投資は同0.4%増加にとどまり、2023年通年では前年比0.4%減少となった。投資は政府部門の投資が後押ししており、一定の歯止めになっている。
しかし、不動産投資は前年同期比9.0%減少した。減少幅は昨年12月の24.0%から縮小したが、不動産販売の急ピッチな減少が幾分緩和した程度で、投資意欲が増しているかといえばそうではない。不動産販売は、床面積ベースでは前年同期比20.5%減だった。昨年12月は同23.0%減だったので減少幅は小幅にとどまったがそれでも20%近い減少となった。
○貿易統計
前週に税関総署から発表された中国の貿易統計では、1-2月の輸出が前年同期比7.1%増加と予想外の好調だった。昨年12月は同2.3%増加だった。一方で、1-2月の輸入は前年同期比3.5%増加に留まった。貿易黒字は1,252億ドルだった。
幾分持ち直しの動きも
今回の経済指標は、中国経済が幾分持ち直したことを示している。ただ、これは、中国当局が昨年末にかけて発動した景気対策の効果により、供給サイドが刺激策を受けて生産を引き上げたことや、予想外の輸出の伸びが寄与したものであろう。
不動産市場の低迷が底打ちすることへの見通しが持てないでいることは、中国経済にとって最大の足かせである。1-2月の全国調査ベースの都市部失業率は5.3%となり、昨年12月の5.1%からは悪化するなど、所得の先行きも不透明であり、消費者信頼感は低水準にあり、消費需要は引き続き弱い。企業の景況感も特に過剰生産能力を抱える製造業では、頭打ちとなっている。今年のGDP成長率の目標とする5%前後の達成は、困難を伴うものになるだろう。