中国株式市場は、冴えない動きを続けている。
先週末の12月15日には、CSI300指数は3,341.55と年初来安値を更新し、過去5年で見ても、安値圏にある。年前半は、中国政府の政策発動期待が強く、値を維持していたが、深刻な不動産市況の悪化と国内消費が伸びないことで、モメンタムが大きく崩れ、3,700近辺を割り込むと、相場は大きく崩れた。
中国政府は、財政政策を発動して、経済成長目標を達成する意欲に乏しいように見える。先日、開催された中央経済工作会議では、2024年の財政赤字目標を国内総生産(GDP)比3.0%とすることで合意したとロイターが報じた。これは、今年の目標である3.8%を下回ることになる。中国政府は、これまでも財政規律を重要視し、大規模な財政出動を控えてきたが、この状況でも大規模な財政出動は行わない方針であると受け止められた。政策発動期待ばかりが先行しており、肝心の国内消費が一向に改善しないことは、大きな問題である。
中国株式市場の参加者に諦めにも似た倦怠感が広がっているきっかけは、新型コロナウイルス対策を転換した際に、かじ取りを誤ったことだろう。経済を再開するにあたり、国内消費が弱く、景気が低迷するリスクがあることを見逃してしまった。そのため、中国政府は財政出動も渋り、インフラ投資も不十分な規模にとどまり、国民への現金給付も見送ってしまった。また、不動産部門の過剰債務にも、抜本的な対策を採らなかった。現在は、消費者の信頼感が大きく低下し、企業も投資や支出を控える状況が続き、成長率は笛吹けど上がらない状況に陥っている。
11月の消費者物価指数(CPI)は、国内消費の低迷を背景に前年比0.5%下落と、過去3年で最大の減少幅となった。生産者物価指数(PPI)も14カ月連続で下落し、世界的なインフレ圧力とは無縁の状況で、中国経済の現状は非常に奇妙な光景が見える。これは、デフレと評価されても反論できないだろう。
香港市場も、中国に引っ張られる形で、不振が続いている。先週のハンセン指数の安値16,201は今年の最安値である。先週末には、香港政庁が不動産市場を支援する方針に転換するとの報道を好感して大幅に値を戻した。15日の上昇は、1日の上げ幅としては1カ月ぶりの大きさだった。しかし、これが反転のきっかけとなるかは予断を許さない。不動産株インデックスは1.5%高とだったが、他のセクターの多くは下落した。