景況感は若干改善も節目である50を大幅に下回る水準
11月23日にS&Pグローバル社が発表した11月のユーロ圏HCOB総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.1で10月の46.5からは上昇した。
製造業PMIは43.8で、これも10月の43.1から上昇した、ただ、製造業PMIは2022年7月以来、景気判断の分かれ目となる50を下回り続けている。サービス業PMIは48.2で、10月の47.8から上昇した。ユーロ圏内の需要は5カ月連続で減少した。10月よりは、需要後退のペースは緩和したものの、消費支出は低迷している。また、新規事業指数は46.7だった(10月45.6)。第4四半期の域内総生産(GDP) は、第3四半期に続いてマイナスとなることが懸念される。
ドイツPMIにも厳しさ
11月のドイツの総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は47.1だった。10月の45.9から改善した。製造業PMIは前月の40.8から11月は42.3に上昇し、6カ月ぶりの高水準をつけた。サービスPMIは48.7だった。製造業PMI、サービス業PMIともに前月より落ち込みが緩やかになった。ただいずれも50を下回ったままであり、現実の厳しさを示している。景気は後退しつつあるも、予想よりは浅い後退でとどまる可能性も考えられる。
ファンダメンタルズが悪化するトレンドの中、欧州中央銀行は、景気減速に対応する必要に迫られて、2024年には、金利を引き下げるとの観測は強まっている。短期金融市場が織り込む、ユーロ金利は、2024年内の利下げ幅を1.00%近くすでに、織り込んでいる。市場参加者の注目は、景気減速を見越して、金利低下の可能性に集まっており、債券相場では、10年ドイツ国債利回りが、10月末の2.80%から2週間で2.55%へと25bps低下した。
ECBは難しい舵取りを迫られる
ECB高官は、インフレ抑制のために、長期にわたって政策金利を高い水準に維持する移行を示し、金融緩和を云々するのは時期尚早との反応を続けている。しかし、大幅な利上げの効果が、インフレに効くのと同様に、ユーロ圏経済に打撃を与えていることを経済指標は示唆している。今後ますます、政策判断は難しくなるだろう。