8月中国経済指標は回復
習近平国家主席は先週9月28日、建国74周年を記念して演説した。この中で、経済・社会発展の年間政府目標を達成するための取り組みを強化することを、表明した。「継続な政策の改善」を推進し、内需を拡大する策を講じると言及した。ただ、従来通り、大枠で経済成長を支援する事にコミットするものの、具体的な措置は盛り込まれなかった。
中国国家統計局が、30日に発表した9月の中国の製造業購買担当者指数(PMI)は50.2だった、8月の49.7から上昇し、活動拡大・縮小の境目となる50を上回った。6か月ぶりの回復となる。サービス業と建設業を対象とする非製造業PMIも51.7と、8月の51から上昇した。
また、27日発表された8月の工業利益は前年同月比17.2%増加となった。前月7月まで減少が続いていたが反転し、今年最大の伸び幅となった。ただ1-8月累計では前年同期間比11.7%減と引き続き厳しい。工業生産は、8月に前年同月比4.5%増加した。生産者物価指数(PPI)は前年同月比3%低下。7月の4.4%低下からマイナス幅が縮小した。輸出の減少傾向もマイナス幅が縮小した。また、与信残高も増加し、資金需要が底を打った可能性を示唆している。
年5%成長達成には厳しい道のり
中国政府は、8月以降、経済成長へのコミットを鮮明にし、金融政策は断続的に緩和されたほか、地方政府には、インフラ投資のための特別債の借り入れ枠を拡大した。これら最近実施した景気刺激策は、消費者の信頼感や企業の景況感の改善に繋がった模様である。ただ、不動産開発業者の経営不安や不動産市況の低迷、外需の先行き不透明さなど、中国経済の先行きは不透明なままである。国内総生産の成長率見通しには、厳しい見方が根強く、政府が設定した5%前後の目標に未達となるのではないかとの懸念は強い。