米国労働省は、13日に8月の消費者物価指数(CPI)統計を発表した。CPIは今週の連邦公開市場委員会(FOMC)前に入手できる最後の主要データとして注目されていた。パウエルFRB議長は先月にも、金利を高水準に維持し、景気とインフレが落ち着かなければ追加利上げもあり得るとの認識を示しており、その内容が気にかかるところであった。
総合CPIが前月比0.6%上昇と7月の同0.2%上昇から伸び幅が拡大、前年同月比で3.7%上昇と事前予想をやや上回った。コアCPIも前月比0.3%上昇で7月の同0.2%上昇から伸び幅が拡大した。前年同月比では4.3%上昇で、7月の同4.7%上昇よりは幾分落ち着いた。
総合CPIの伸びが拡大した理由は、ガソリン高を反映したためで、前月比での伸びは過去約1年で最大となった。米労働統計局によると、今回の総合指数の上昇分のうち、ガソリンは半分以上を占めるという。コアCPIも前月比では予想を上回る伸びで、今回の統計は、米国経済の勢いが若干加速して、物価上昇圧力が再燃していることを示唆する。米FRBによる追加利上げ幅が拡大するとの見方が広がる可能性を高めるだろう。
また、14日に発表された8月の生産者物価指数(PPI)では、前月比0.7%上昇と7月の同0.4%から上昇し、約1年ぶりの大幅な伸びを記録した。エネルギーと輸送のコスト上昇が全体を押し上げた。8月は原油価格が急反発したことで、ガソリン価格が20%急伸したためである。このところ、サプライチェーンの正常化や主要国での景気減速があり、生産者段階ではインフレ圧力は緩和傾向が見られた。しかし原油価格の上昇で、減速トレンドが変化してきており、撹乱要因となる可能性がある。
米FRBは、これまでの積極的な利上げで、リセッションに陥ることなくインフレを抑制できるとのシナリオが実現する可能性を高く見はじめていたが、インフレが再び加速すれば、追加利上げを余儀なくされ、景気低迷に陥るリスクが高まることになる。金融市場では9月FOMC会合では金利が据え置かれることを、11月FOMC会合では利上げをほぼ五分五分の確率で織り込んでいる。