中国財政省が株式取引の印紙税を引き下げ
中国財政省は8月27日、資本市場を活性化し、投資家からの信頼感を向上することを目指して、株式取引にかかる印紙税を、0.1%から0.05%に引き下げることを決め、発表した。印紙税引き下げは28日から実施される。これは、2008年以来の引き下げ措置である。
中国の株式市場は、8月単月で、SCI300指数が約4,000ポイントから3,700ポイントまで下げ、景気の先行きについての悲観論が広がっていた。流動性に影響する政策には、従来、感度が高く、印紙税引き下げは、相場の反発のきっかけとなるプラス材料となると考えられた。中国の証券会社やファンド会社にとっては、コスト低減に繋がる。
証監会も中国株の売りを牽制
また、中国証券監督管理委員会(証監会)は27日、株式市場の環境を鑑み、新規株式公開のペースを減速させる方針を明らかにした。具体的にどのような措置が実施されるかは、明らかにされていない。証監会はまた、大手の運用会社に対して、中国株の売り越しを回避するよう要請したという話も聞こえてきた。さらに、証券取引所が投信運用の大手数社を対象にいわゆる窓口指導を実施し、購入分より多い本土株の売却を毎営業日控えるよう指示した。非公開情報だとして関係者が匿名を条件に語った。財務損失を継続的に計上し、株価が株式公開時もしくは純資産を下回った企業について、資金借り換えの頻度と規模を制限することを発表した。ただし、流動性不安に陥っている不動産開発業者は適用を除外するとのことである。
一時は大幅上昇も、引けにかけて上げ幅を削る展開
週明け28日の中国株式市場は、寄り付きから大幅に上昇した。住宅ローン関連の規制が緩和されることや廉価な住宅供給を拡大する方針が打ち出されるなど不動産市場への支援策が打ち出されたことを受けて、不動産開発銘柄も上昇した。CSI300指数は、前日比5.5%高い3,900ポイント超えで取引が開始された。しかし、その後は、断続的に売り込まれ、引けは3,752.62ポイントまで下げた。前日比では、+1.17%にとどまった。外国人投資家の動きを反映するストックコネクトを通じた取引は、82億元程度の売り越しだった。
6月7月と想定外に弱い経済指標が示唆する中国経済の先行きには、悲観的な見方が増えている。中国当局は、小出しにさまざまな政策を打ち出しているが、市場参加者の懸念を払拭し、相場を転換させるような実体経済を後押しする強力な措置が必要だろう。小手先の政策では、一時しのぎに過ぎず、効果は長くは続かないだろう。