中国経済の成長路線回帰への期待感が剥落し、ハンセン指数は3日続落。心理的節目である20,000ポイントの大台を割り込む

香港・中国市場Dairy ~ 中国経済の成長路線回帰への期待感が剥落し、ハンセン指数は3日続落。心理的節目である20,000ポイントの大台を割り込む

ハンセン指数 19,925.74 pt (▲0.63%)
中国本土株指数 6,649.63 pt (▲1.15%)
レッドチップ指数 4,003.23 pt (▲1.03%)

売買代金1,029億3百万HK$(前日1,174億8百万HK$)

ハンセン指数
注目されたパウエル議長議会証言はタカ派の発言内容

パウエルFRB議長は7、8両日の議会公聴会で、インフレ抑制に向けて今月のFOMC会合で利上げペースを再加速させるかどうかについては、今週10日の2月の雇用統計のほか、来週発表予定の消費者物価指数などの経済指標に左右されると述べた。

しかし、一部では雇用統計が力強い数字が示されただけでも米金融当局が利上げ幅を決定する上で確固たる情報になり得るとみられ警戒が高まっている。事前の予想では2月の非農業部門雇用者数は前月比22万5,000人と、予想外の大幅増となった1月と比較すれば数字とては半分程度まで低下する見込みだが、失業率については3.4%と1969年以来53年ぶりの低水準を維持する見込みである。

CME Fed Watchによれば3月FOMC会合で50bps幅での利上げを予想する確率が80%まで上昇した。1週間前はわずか30%だったので、それと比較すると振れ幅が如何に大きいかがわかる。ターミナルレートの市場見通しでも今年9月にピークを迎えるとみられる水準は5.7%近くに上昇し、金利上昇には限りがあるとのシナリオに乗っかっていた投資家にとっては大幅な相場観の変更を余儀なくされる事態となっている。

ハンセン指数は3日続落

9日、中国国家統計局が発表した中国の物価統計では、消費者物価指数、生産者物価指数ともに事前予想を下回った。食品価格や資源価格の低下が要因とみられ、中国での生産活動が全面的に再開されているにもかかわらず、生産が拡大せず、インフレ圧力が増大していないことを示唆する内容となった。

2月のCPIは前年同月比1.0%上昇にとどまり、昨年2月以来の低い伸びだった。前月比ベースでは、0.5%低下と減少に転じた。先週から開催されている全国人民代表大会で公表されたCPIの目標上昇率は3.0%と設定されたが、目標からは大幅な乖離があるのが現実である。

CPIの鈍化について、前年は2月に春節(旧正月)があったこともあり、消費需要については単純比較が難しいとの理由もあろうが、足元の消費需要が芳しくないことは確かであろう。中国政府が定めた経済成長率年5%目標を達成できるかどうかは、決して楽観できる状態ではない。

今回の全人代で発足する第3次習近平政権が、どのように景気浮揚を図るのか、注目されるところである。なお、今回のインフレ圧力の急激な落ち着きを踏まえれば、人民銀行が慎重な姿勢に終止してきた抑制的な金融政策を転換し、追加の金融緩和に踏み切ることもあり得る。

中国の消費者物価指数
中国の生産者物価指数

9日の香港市場は前述した物価統計の結果を受けて。中国景気の回復には時間を要することが確認される形となった。ハンセン指数は前日終値で一進一退の動きとなった後、午後に下げ幅を拡大し前日比0.63%安と3日続落、心理的節目である20,000ポイントを割った。

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は4日続落し前日比0.63%安と軟調な動きが続く。オンライン予約のトリップドットコム(9961)は4.7%安、ソフトウエア開発の明源雲集団(0909)は4.5%安、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は3.4%安、電気自動車メーカーの理想汽車(2015)は2.8%安と下げた。

外食レストランや飲食関連も安く、レストランチェーンの呷哺呷哺(0520)は7.0%安、九毛九国際(9922)は4.8%安、火鍋チェーンの海底撈国際(6862)は4.5%安、飲料メーカーの中国蒙牛乳業(2319)は3.1%安と下げた。
主要銘柄も軟調な動きが続き、インターネットサービスのテンセント(0700)は2.7%安、フードデリバリーの美団(3690)は1.9%安、保険大手の中国平安保険(2318)は1.7%安、アリババ(9988)は1.5%安だった。

中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.22%安の3,276.09、CSI300は同0.35%安の4,019.85と4日続落した。

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