香港・中国市場Dairy ~ 堅調な米国経済と笛吹けども踊らない中国経、香港市場は続落
ハンセン指数 20,423.84 pt (▲0.51%)
中国本土株指数 6,832.76 pt (▲1.33%)
レッドチップ指数 4,004.17 pt (▲0.91%)
売買代金1,146億1百万HK$(前日1,120億6百万HK$)
21日の欧州市場・米国市場では、いずれも、経済指標が予想以上に堅調な経済の足取りを示唆し、金利への上昇圧力が強まった。
21日、 S&Pグローバル社が発表したユーロ圏の総合購買担当者景気指数PMI(2月) は、速報値で52.3だった。1月の50. 3から幅を伴って改善した。事前予想を上回る改善幅で、9カ月ぶりの高水準をつけた。サービスPMIが53.0となり前月の50. 8から大きく上昇したことが総合指数の上昇に寄与した。一方で、製造業PMIは前月の48.8から48. 5へと悪化した。事業見通し指数は1月の61.2から61. 5へと上昇し9カ月ぶりの高い水準をつけた。将来の生産見通し指数も、昨年5月以来の水準に回復しており、先行きの需要に関しては楽観的な見方が強まったことが示された。雇用指数は、5カ月ぶりの水準に上昇し、堅調な労働需要が続いていることを示唆した。
米国では、FRBがインフレ指標として注目しているPCEデフレーターに先立って発表された2月の米総合購買担当者景気指数(PMI)は8カ月ぶりに景気拡大と縮小の節目である50を上回った。S&Pグローバル社が発表した米国の製造業・サービス業合わせた2月の総合購買担当者指数PMI速報値は、50.2だった。1月の46.8から3.4ポイント改善し、経済活動の拡大と縮小の境目である50を8カ月ぶりに上回った。サービス業PMIが50.5と、予想外に改善し昨年6月来となる50台を回復して総合PMIを押上げた。製造業PMIは47.8と、4カ月連続で50を下回ったが、1月の46.9からは改善した。
昨年12月は年末商戦の終わりに、消費が翳りを見せるやや心配なデータが示され、年初にリセッション入りするとの観測が一旦強まった。しかし、1月の雇用統計や小売売上高は、足元の米国経済が底堅いことを示唆し、前提が大きく変化した金融市場の金利見通しは変更を余儀なくされている。
金融当局が金融政策でハト派姿勢に転換するとの期待は、非現実的なものになってきた。昨年末から、繰り返しのFRB高官の警告にも関わらず、年内に利下げ姿勢への転換を期待してきた動きは破れたと言わざるをえない。22日に発表される前回の米連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨でも、大幅利上げを検討している旨の記録などがあれば、3月5月6月と続くFOMCで、たて続けに利上げが実施されるとの見方が強まっても不思議ではないだろう。
ハンセン指数は続落
22日、香港政府は次年度予算案を発表し、新型コロナウイルス禍で低迷した景気の押し上げを目指して、消費拡大のための消費券の配布など景気テコ入れ策を打ち出した。消費券の対象者には一人当たり5,000香港ドル(約8万6000円)が配られる。昨年に比べると規模は小さくなるが、市場では新たな消費券の配布を予想していなかったため、金融市場にはこぶりながらサプライズとなった。また、900万香港ドル以下の住宅取得一次取得者に対する税率引き下げを発表した。
陳財政官は穏健な財政スタンスを取るとしながらも、2023-24年度予算では544億香港ドル規模の財政赤字を計上するとの見通しを示した。2022年通年の香港のGDP成長率は前年比で3.5%減と落ち込んだが、2023年度はプラス3.5-5.5%成長になるとの予測を公表した。
香港政府の発表を受けて、ハンセン指数は一時プラス圏まで値を戻したものの、午後には、下げに転じ、同指数は続落して前日比0.51%安で引けた。欧米市場で、金利が一段と上昇し、株価が下げたことで、香港中国市場でも、売り圧力が顕在化した。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比1.38%安と続落、終値ベースで23年に入って上昇していた上げ幅を帳消しとした。電気自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は3.6%安、高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は3.1%安、Eコマースの京東集団(9618)は3.0%安、自動車メーカーの理想汽車(2015)は2.9%安と下げた。主要銘柄も総じて安く、保険大手の中国平安保険(2318)は3.1%安、マートフォンの小米集団(1810)は2.5%安、アリババ(9988)は2.4%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.6%安と下げた。
一方、金利の上昇から金融関連株は堅調となり国際銀行のHSBC(0005)は5.3%高、香港大手行のハンセン銀行(0011)は2.7%高、中銀香港(2388)は2.0%高だった。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.46%安の3,291.15、CSI300は同0.9%安の4,106.95と3日ぶりに反落して引けた。