香港・中国市場Dairy ~ ハンセン指数は4日ぶりに反落、不動産市況データと地政学リスクに警戒
ハンセン指数 18,256.48 pt (▲0.47%)
中国本土株指数 6,225.71 pt (▲0.70%)
レッドチップ指数 3,489.49 pt (▲0.61%)
売買代金1,733億0百万HK$(前日2,050億9万HK$)
不動産データは鈍化ペース加速
足元で感染者の拡大が続く中国経済を判断する上で、ゼロコロナ戦略の微調整と不動産部門の回復が重要になってくる。その中、16日に中国国家統計局が発表した10月の新築不動産価格は前年比1.6%下落と6ヶ月連続でマイナスとなった。下落幅は2015年8月以来の大幅な下落となり、前月ベースでは0.3%下落し、前月からの0.2%減から鈍化ペースが加速した。
前日に発表された不動産投資や住宅販売が大きくマイナスに転じたことから、需要悪化に伴う価格低下の影響は致し方ない状況だが、それでも歯止めが効かない状況が続く。
先日には不動産部門の資金調達の取り締まりを解除し、金融機関に対し不動産開発業者向けの支援を拡大するよう通達したばかりだが、こうした措置が需要喚起を狙ったものではなければ成長回復には時間を要するものみられる。
融資の返済延長を含む16の通達には、もちろん地方政府に不動産購入頭金や住宅ローンの条件緩和を求め、需要を促す措置なども含まれる。現状の債務悪化に対する業界再編をはじめ、一連の問題が解決に向かうがどうか期待したい。
ハンセン指数は4営業ぶりに下落
16日の香港市場はハンセン指数が前日まで3日続伸、月間で約25%戻していただけに売り圧力が強まった。朝方にはNATO加盟国ポーランドに、ロシア製のミサイルが着弾し、市民2人が死亡したことで地政学リスクが高まり、同指数は1.6%安まで下げる場面もみられた。
取引時間中には、主要国首脳と北大西洋条約機構(NATO)で開催された緊急会合でバイデン米大統領は「ミサイルがロシアから発射された可能性は低い」と述べるなど、集団的自衛権の行使を規定したNATO5条の発動の可能性は低いとの見方を示した。ハンセン指数はは大引けにかけて下げ幅を縮小し、前日比0.47%安、下値は底堅い展開となった。
ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は前日比0.23%安で引けた。一時は2.6%強まで売られ、連日大幅高の影響から売りが散見されるも、引けにかけて買い戻された。自動車関連株が下げに転じ、EVメーカーの小鵬汽車(9868)は7.3%安、新興メーカーのNIO(9866)は5.9%安、理想汽車(2015)は3,8%安だった。
連日の不動産市況のデータから不動産株で構成されるハンセン不動産指数は前日比6.79%安。不動産開発の雅居樂集団(3383)は23.3%安、時代中国(1233)は17.0%安、碧桂園(2007)は15.3%安で引けた。
一方、ゲーム株が堅調。オンラインゲーム開発のXD(2400)は17.2%高、動画プラットフォームのビリビリ(9626)は6.2%高、網易(9999)は3.5%高で引けた。中国人民日報は、ゲーム技術はデジタル経済の勢いを加速させ、中国文化の影響力を高める上で各産業に役立つと伝えたことが材料視された。
中国本土株市場は上海総合指数は前日比0.45%安の3,119.98、CSI300指数は0.82%安の3,834.39と反落した。中国本土では足元の感染者拡大に警戒が続く。
前日の新規感染者(無症状者含む)は20,059人と今年4月24日以来の20,000人を超えた。一部では地方政府がコロナ政策の緩和を求める一方、広東省をはじめ感染が拡大している地域では外出規制などの防疫措置が強化されている。
ただ下値は限定的であり、中国の景気テコ入れに伴う景気見通しが高まっている。中国の10年債利回りは上昇し、昨年12月以来の高水準を記録した。足元の経済指標や感染者などのネガティブな材料が続くも、先通しについては期待も高まっているように感じられる。