中国景況感の悪化により中国・香港市場は伸び悩む環境が続く

香港・中国市場Dairy ~ 中国景況感の悪化により中国・香港市場は伸び悩む環境が続く

ハンセン指数 19,597.31 pt (▲1.79%)
中国本土株指数 6,742.04 pt (▲1.79%)
レッドチップ指数 3,667.96 pt (▲0.98%)

売買代金1,056億5百万HK$(前日1,365億5万HK$)

ハンセン指数

米国市場はFRBによる大幅利上げ継続への懸念が根強い中、前日の米主要3指数は4営業日続落した。連日、米国の中央銀行高官によるタカ派的発言が相次ぎ、株式市場のセンチメント悪化が続く。明日の8月の米雇用統計の発表を控え、投資家の間では結果を見極めたいという姿勢が強いようだ。

内容については足元の雇用の堅調さが示されればFRBの大幅利上げ継続を後押しする材料となりうるため、指標が減速したほうが株価にはプラスに働く可能性が高いとみる。

ただ雇用統計に先立って発表された民間機関が算出する8月のADP米雇用統計は非農業部門就業者数が前月比13万2,000人増と、7月の26万8,000人増から伸びが大きく鈍化し、市場予想の28万8,000人増も大幅に下回った。加熱していた労働市場が転換点に差し掛かっている局面もあり、明日の雇用統計を手がかりに米国経済の現状を映しだす指標として一層注目が集まる。

1日の香港市場はハンセン指数が前日比1.79%安と一本調子で下げ幅を広げた。取引時間中に発表された8月の財新中国製造業PMIは49.5と市場予想を下回り、前月から悪化、景況判断の節目となる50を3か月ぶりに割り込んだ。8月は中国各地では厳格な新型コロナウイルス対策が続いていることに加え、猛暑の影響で電力不足が深刻化したことも受け、中国の景気には回復の勢いがみられない状況を示す結果となった。9月に入ってもハンセン指数は20,000ptでの攻防が続く。

財新中国製造業PMI

自動車関連株が下げ幅を広げハンセンテック指数は前日比1.63%安と下落。新興EVメーカーのNIO(9866)は5.2%安、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は4.4%安、自動車ディーラーの中升集団(0881)は4.0%安、吉利汽車HD(0175)は2.8%安と売りが先行した。

またインターネットサービスのテンセント(0700)は0.7%安。同社が有する上場企業株のうち1,000億元相当を年内に売却する方針との報道が流れたことでフードデリバリーの美団(3690)は5.8%安となった。同社は出資持ち分を減らす目標金額や時期は一切設定していないと否定するも、影響は限定的となった。

そのほか幅広い銘柄に売りが散見され、自動車・電池メーカーの比亜迪(1211)は前日の大幅安に続いて3.9%安。2日で約12%強の下げとなった。ビール大手の華潤ビール(0291)は4.9%安、Eコマースのアリババ(9988)は2.2%安、香港取引所(0388)は2.0%安だった。

中国本土指数は上海総合指数が前日比0.54%安の3,184.98と4日続落した。一時はプラス圏に回復する場面もみられたが、後場から下げ幅を拡大し節目となる3,200pt割れとなった。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、行動抑制など防疫措置が各地に広がっていることがネガティブに働いたほか、中国景況感の悪化も懸念材料となった。

中国人民元安も相場の重荷となった。1日、中国人民銀行は人民元の対ドル基準値を前日から0.12%元高水準に設定するも、1ドル=6.90元台と約2年ぶりの元安水準に達した。

世界経済が急ピッチな利上げによる景気減速懸念が強まる中、中国共産党が第20回党大会を10月16日から開催すると伝わったことで、中国が景気刺激策を支援するとの期待が高まった面もある。ただ足元、ゼロコロナ政策を続ける中国経済は再び都市規制による経済打撃が懸念感を強めている。閉幕後には新型コロナウイルスの対策緩和や、経済対策の裁量拡大ができるとの期待も高いようだが、伸び悩むマーケットが先通し不透明な環境を映し出している。

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