中国市場は大幅安、ハンセン指数は3日続落し5カ月ぶりの安値水準へ

香港・中国市場Dairy ~ 中国市場は大幅安、ハンセン指数は3日続落し5カ月ぶりの安値水準へ

ハンセン指数 19,268.74 pt (▲1.20%)
中国本土株指数6,565.69 pt (▲1.25%)
レッドチップ指数 3,600.98 pt (▲0.69%)

売買代金991億3百万HK$(前日866億3万HK$)

ハンセン指数

ジャクソンホール会議を控えたマーケットは、方向感のない相場が続く。前日、発表された米8月製造業サービス部門PMIや米7月新築住宅販売件数などの経済指標は総じて市場予想を下回った。弱い指標を受けて景気減速による利上げペースの鈍化も意識されたが、10年米国債利回りは、さほど変化がみられなかった。市場はあくまで冷静にパウエル氏の発言を見極めたいという印象が強いようだ。

24日の株式市場は昨日からの悪い流れが続き、中国・香港市場は全面安の様相となった。特に中国上海総合指数については朝方から一本調子で下落、香港ハンセン指数は3月15日に付けた年初安値以来、実に5カ月ぶりの安値水準となった。

中国企業では相次ぐ決算内容が市場を下回り、市場見通しの懸念が高まっている。そうした背景には6月から解除された上海をはじめとした大規模な都市規制や、連日猛暑による電力不足が影響している。一部のサプライチェーンではこうした影響から稼働が停止するなどの事案も発生している。

またゼロコロナ政策に固執する中国当局も足かせとなり、23日からは北京に隣接する河北省涿州市で都市封鎖が講じられるなど、政策面でも中国経済を下押しする原因となっている。

香港株式市場は3日続落、ハイテク比重の高いハンセンテック指数は市場をアンダーパフォームし前日比2.77%安で引けた。新EVメーカーをはじめとした自動車関連株が下落。自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は12.1%と大幅安。前日に発表した決算では上半期の赤字が拡大したほか、7-9月期の販売台数が予想外に減少することを示唆したことがネガティブに働いた。また上海をはじめとしたサプライヤーチェーンの電力不足の影響も懸念された。自動車メーカーの理想汽車(2015)は5.3%安、新興EVメーカーのNIO(9866)は5.0%安、吉利汽車(0175)は4.4%安だった。

そのほか主要銘柄は全面安となり、電子部品の比亜迪(1211)は5.2%安、デリバリーサービスの美団(3690)は2.7%安、Eコマース大手のアリババ(9988)は2.4%安、香港取引所(0388)は2.2%安だった。

中国本土株は上海総合指数が前日比1.86%安の32,15.20、CSI300指数は1.89%安の3215.20と3週間ぶりの安値をつけた。指数は終日、右肩下がりで下落し自動車や半導体部品などが下落した。足元の感染者数が高止まりしていることも懸念された。

米上場の中国企業は、香港・シンガポールでの重複上場にシフト強まる

ここ数日、米国に上場していた中国企業数社が米国上場を廃止することを発表した。これらの企業は、香港取引所やシンガポール取引所への上場を模索していることは、既に報じられているところだが、今後数カ月間に、こうした企業は増えるだろう。

5月には初めて新興EVメーカーのNIO(9866)が、米国と香港に重複上場した後、中国企業としては初めてシンガポール取引所にも上場を果たした。

現在、中国のネット企業を含め273社が米国証券委員会(SEC)の上場廃止リストに掲載されている。米中政府間では、上場企業の監査問題を巡って協議が続いており、米国に上場する中国企業が米国の監査規則を順守できない場合、米国内の取引所での上場は廃止されることとなる。米国で上場廃止になったとしても、香港やシンガポールでも投資は継続できるわけで、投資家に支障はないだろう。ただ世界の株式売買の大半は、米国市場で行われているのも現実である。特に、シンガポール取引所は、市場規模も時価総額ベースでは香港の5分の1程度で、流動性に課題が残るのではないか。

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