香港・中国市場Dairy ~ 香港ハンセン指数は小幅続伸。しかし、株式市場は盛り上がりに欠け方向感の乏しい展開。
ハンセン指数 20,175.62 pt (+0.46%)
中国本土株指数6,857.48 pt (+0.50%)
レッドチップ指数 3,601.19 pt (0.52%)
売買代金749億9百万HK$(前日827億1万HK$)
米国ではインフレのピークアウトの期待が高まっている。前日発表された7月の生産者物価指数(PPI)は前年同期比9.8%増と事前予想を下回ったことで過度な金融引き締めに対する懸念が後退した。10日に発表された消費者物価指数に続いて楽観的なムードが漂うも、インフレは一過性ではなく足元の米国では賃金や住宅価格は上昇している。
また昨日行われた米30年債入札は低調な結果となり、10年米国債利回りは再び2.9%台まで上昇、8月の高値水準となった。デイリー米サンフランシスコ地区連銀総裁といった金融当局者からのインフレを警戒する発言など、今後の緩やかな金融緩和に対しても懸念が払しょくできない状況にある。いずれにせよ、パウエル議長が話すまでは、相場の反発は続き得る。今後の経済指標に注視しながら金融政策に対する支援材料を待つ環境が当分続くと想定する。
12日の香港市場は前日の値幅を伴った上昇の後で、朝方こそ、方向感の乏しい展開だったが、引けにかけて堅調になり、ハンセン指数は小幅に二日続伸し前日比0.46%高で引けた。中国企業の業績改善が相場を支える流れとなり個々の企業が指数を押し上げた。
ただ香港市場の売買代金は749億香港ドルと8日連続で1,000億香港ドル割れ、5月4日以来実に3ヶ月ぶりの低水準だった。物価指標の発表を無事こなして株価指数は堅調に推移するも、市場参加者は夏休み気分で、いまひとつ盛り上がりに欠ける感は否めない。
香港市場は業績を手掛かりに個別銘柄が上昇。スポーツ用品大手の李寧(2331)は4.7%高。朝方、発表した中間決算によると売上高は前年比21.7%、純利益は前年比で11.6%増加したことが材料視された。そのほか携帯電話キャリアの中国移動(0941)は1.4%高、同社の中期決算で純利益が前年比18.9%上昇、配当の増額が予定された。香港上場企業の決算報告がピークを迎える中、相次いで増益や増配を明らかにする企業の動きが目立った。
自動車関連銘柄も堅調だった。自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は4.4%高、EVメーカーのNIO(9866)は4.2%高で引けた。そのほか中国の主銘柄もしっかり。石油会社の中国海洋石油(0883)は2.4%高、Eコマース大手のアリババ(9988)は1.2%高、生活関連サイト運営の美団(3690)は1.5%高だった。
中国本土マーケットは上海総合指数が前日比0.15安の3,276.89と小反落、CSI300指数は0.06%安の4,191.15 で引けた。香港市場同様に方向感の欠く展開となり、堅調な動きも引けにかけて利益確定売りに押された。同指数は前日まで約2週間ぶりの高値だった。また来週発表される中国小売売上高や鉱工業生産など主要経済指標を控えて様子見ムードが広がった。
足元、中国本土の新規感染者の高止まりは不安材料で、11日の新規感染者(無症状者除く)は1,851人と今月10日に記録した今年5月12日以来の高水準である。中国の一部都市では複数地域でロックダウンが導入されるなど先行き不透明感は拭えない。