雇用統計は雇用市場が一段と堅調であることを示す。
7月の米雇用統計が極めて好調な内容となったことで、金融当局としては需要とインフレを抑制するため数十年ぶりとなる積極利上げを継続する必要がありそうだ。
8月5日に米国労働省が雇用統計(7月) を発表した。
非農業部門雇用者数は前月比52.8万人増で、6月も速報値37.2万人増から39.8万人増に上方修正されたうえで、それからの増加数も大幅に事前の予想を上回った。
家計調査に基づく失業率は3.5%と、このところ数か月間足踏みをしていた3.6%から、一段と改善を示し約50年ぶりの低水準になった。
賃金の伸びは加速した。平均時給は前月比0.5%増と6月の確定値同0.4%増を上回った。前年同月比では5.2%の増加である。賃金が上昇していることは悪いことではないが、CPIの増加ペースには追いついておらず、その上昇加速はインフレ圧力が相当に強いことを示唆している。
6月7月のFOMCでも示された通り、過去数カ月の雇用統計は、米国雇用市場が相当に腰の強い状態にあることを示す。米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定している次回9月の会合でも、FRBは積極的な金融引き締め姿勢を維持して0.75%幅での利上げを実施する可能性を、市場は取りざたするだろう。
パウエル議長は7月FOMC後の会見で、今後の利上げについてはデータ次第で判断することを明言した。次回の9月FOMCまでにインフレ率が落ち着きを見せるのかどうかが最大の注目点となろう。次の重要な指標は7月の消費者物価指数(CPI)である(8月10日発表予定)。