香港・中国市場Dairy ~ 米雇用統計の発表を控え様子見…足元の景気動向を再確認する展開へ
ハンセン指数 20,201.94 pt (+0.14%)
中国本土株指数6,902.18 pt (+0.33%)
レッドチップ指数 3,605.39 pt (+0.77%)
売買代金851億7百万HK$(前日889億4万HK$)
今夜に控える7月の米国雇用統計を前に、アジアの株式市場は上値が重い展開となった。市場参加者は、景気動向を確認するために、今来週と相次いで発表される米国経済指標を手掛かりにしたいとの意向が強まっている。来週水曜には最重要課題となっている米国CPIが発表される予定で、景気後退リスクや金融引き締めが改めて材料視される展開も想定される。8月に入って、リセッション入り観測から、10年米国債利回りは2.5%台前半まで下落しているが、こうした動きが正当化されるかどうかの手掛かりとなるだろう。
5日の香港市場は3日続伸したが値幅は小幅だった。ハンセン指数は前日比0.14%高で引けた。ただし、方向感には乏しく、朝方こそ、小高く寄り付いたもの、午後にかけては伸び悩み、前日終値での一進一退の動きとなった。前日大きく買い戻されたネット株が軟調に推移する一方、ここ数日売られていた不動産や海運といったセクターに物色が目立った。
海運セクターではコンテナの東方海外(0316)は7.1%高、中遠海運(1919)は2.7%高だった。ハンセン本土不動産指数も買われ前日比1.64%高と他指数をアウトパフォーム、不動産開発の旭輝集団(0884)は6.0%高、不動産投資会社の九龍倉置業地産投資(1997)は4.8%高、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は3.6%高となった。
そのほか中国政府が打ち出した産業支援策の恩恵が期待できる半導体関連銘柄が相場を押し上げた。ハンセンテック指数は0.79%高、半導体ファウンドリーの華虹半導体(1347)が13.3%と大幅高、中国最大のSMIC(0981)は7.0%高で引けた。
一方、原油関連株は下落。前日、WTI原油先物はロシアがウクライナ侵攻を開始した今年2月以来、初めて90ドル/バレル割れとなり過度な需要懸念が後退した。OPECプラスは3日、小幅に増産姿勢を示したことや、インフレ警戒が和らぎ沈静化につながった。中国最大の石油グループのペトロチャイナ(0857)は2.2%安、CNOOC(0883)は1.2%下落した。
ネット株や自動車株など堅調だった銘柄も売られ、Eコマースのアリババ(9988)は2.2%安、自動車の理想汽車(2015)は1.0%安、インターネットサービスのテンセント(0700)は1.4%下落した。
中国本土株は上海総合指数が前日比1.19%高の3,227.03と続伸、指数は中盤まで方向感が定まらない中、終盤にかけて急上昇し3,200ポイントを超えて引けた。中国政府の産業支援策に対する期待から半導体セクターに買いが目立ち指数を押し上げた。CSI300指数は1.35%高の4,156.91で引けた。
中国アリババ、上場来初の減収
4日、Eコマース大手のアリババ(9988)が4-6月期決算を発表、売上高は前年同期比でわずかながら減収となり14年の米株式市場上場以降、初めての減収となった。新型コロナウイルス感染拡大を受けた上海の都市規制など厳格な防疫措置が業績を直撃した。ただ6月以降は回復の兆候がみえ、長期的な成長の機会に自信を持っているとCEOは述べた。8日の同社株価は2.2%安となった。前日、決算発表前に5.1%上昇と事前に買いが先行していたこともあり反応はネガティブに働いた。
市場の反応としては、アリババは、今期の決算内容こそ減収となり落ち込んだもの、懸念されたような悪い数字ではなく、むしろ上振れた内容について好感した。多くのアナリストは、目標株価について強気判断を維持し、利益の上方修正を期待しているようだ。アリババは昨年の急落から今年は上値が重いが、反転への期待はむしろ強まっている感がある。