香港政府は、入境時の隔離措置短縮を発表。景気回復の見通しも、株式相場はいまだ閑散

香港・中国市場Dairy ~  香港政府は、入境時の隔離措置短縮を発表。しかし、香港株式相場は閑散。売買代金は4日連続の1,000億香港ドル割れ

ハンセン指数 20,045.77 pt (▲0.77%)
中国本土株指数6,821.52 pt (▲1.17%)
レッドチップ指数 3,610.87 pt (+0.15%)

売買代金749億3百万HK$(前日851億7万HK$)

ハンセン指数

先週末発表された7月の米国雇用統計は、事前予想以上に強い内容となり、金融市場ではFRBが積極的な金融引き締め姿勢を維持するとの見方が広がった。10年米国債利回りは2.8%台まで上昇し、2週間ぶりの高値に到達した。今週の水曜日には7月の米消費者物価の発表を控えており、足元の経済動向とFRBの金融政策の動向に注目が集まっている。

週明けの香港市場は米長期金利の上昇を受けてデジタル銘柄を中心に売りが先行し、ハンセン指数は前日比0.77%安と4日ぶりに反落した。朝方、マイナス圏に沈んだ後はサポートラインである20,000pt近辺で一進一退の動きに終始した。香港市場の商いは盛り上がり欠け、方向感も乏しい展開だった。売買代金は4日連続で1,000億香港ドル割れし、5月4日以来3ヶ月ぶりの低水準だった。

中国で新型コロナウイルスの感染者が増加傾向にあることも相場への重石となった。中国有数のリゾート地である雲南省では6日、感染拡大を抑えるために、ロックダウンを導入し移動制限を実施した。夏の観光シーズンで訪れている約8万人に影響が及ぶと見込まれている。一方、香港では8日、李行政長官が入境者に義務付けているホテルでの隔離について、全ての人を対象に期間を現在の7日間から3日間に短縮すると発表した。グローバルがウィズコロナに舵を切る中で、中国と香港は入国・入境時に隔離措置を実施しているが、これが緩和に向かうのは経済にとってはよいことであろう。

8日の香港市場はハンセンテック指数が市場をアンダーパフォームし前日比1.82%安、Eコマース大手のアリババ(9988)は4.4%安と先週の決算発表から2日連日の大幅安となった。そのほかスマートフォンの小米(1810)は3.6%安、ネット通販の京東集団(9618)は3.2%安、テンセント(0700)は2.6%安、動画配信の快手(1024)は2.5%安と下げに転じた。自動車株も下落し、新興EVメーカーのNIO(9866)は4.1%安、自動車メーカーの小鵬汽車(9868)は2.4%安となった。

一方、香港での隔離措置の短縮を受けて旅行関連株は上昇した。ホテル経営の香港上海大酒店(0045)は3.9%高、航空会社のキャセイパシフィック(0293)は1.4%高だった。

中国本土株は上海総合指数が前日比0.31%高の3,236.93と3日続伸、指数は中盤まで方向感が定まらず売りが先行したもの、下値は底堅く程なくしてプラスに転じた。中国の7月の貿易統計で輸出が予想を上回ったことが好感された。

中国の輸出が予想上回る伸び

中国税関総署が7日発表した7月の輸出はドルベースで前年同月比18%増と予想外に加速し今年1月以来、最も高い伸びと市場予想(14.1%)、前月(17.9%)から共に上振れた。一方、輸入に関しては2.3%増と6月の1%増から加速したもの、市場予想(4%)を下回った。

新型コロナウイルス感染拡大を受けた落ち込みから回復を目指す中国経済にとって今回の結果は心強い材料となったが、輸入に関しては不動産市場が不安定など内需の脆弱さが目立つ内容となった。また輸入の内訳に関しては、ウクライナ侵攻で米欧の制裁を受けるロシアからが約5割増となった一方、米国からの輸入はマイナスとなった。中国経済は7月も厳格な新型コロナウイルを実施し、個人消費は前月に続いて伸び悩んだことも影響した。

輸出に関しては上海のロックダウンが6月に解除され、海外向けの生産や物流の回復が鮮明となっている。ただ今後は世界的に消費減速の兆しもみられ、輸出の重石になる可能性が指摘されている。

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