香港・中国市場Dairy ~ 中国不動産開発業者の流動性危機への懸念が和らぎ、ハンセン指数は6日ぶりに反発
ハンセン指数 20,846.18 pt (+2.70%)
中国本土株指数 7,168.89 pt (+3.03%)
レッドチップ指数 3,804.54 pt (+2.61%)
売買代金1,160億9百万HK$(前日1,295億6万HK$)
米国では先週末、過度な利上げ観測が後退した。7月に開催されるFOMCの利上げ幅は75bps(0.75%)が確実視され、米国債券市場では10年米国債利回りが節目の3.0%台を割り込んだ。一時は100bpsの利上げに踏み切るとの見方もあったが、この見方が後退したことで、過度な金融引き締めによる景気後退が和らいだ。
中国市場では、先週、過熱気味に報道された中国不動産開発業者の流動性危機をめぐる懸念が和らいだことが投資家心理を支えた。銀行保険監督管理委員会は、不動産物件の引き渡しを進めるために金融サービス会社を別途設立し、不安心理を払拭して、不動産市場を落ち着かせる方針を示した。また同委員会は適格な不動産プロジェクトには資金繰りをつけ、開発業者の資金需要に対応するよう市中銀行に通達した。資金繰りに窮し、建設工事が延期される不動産プロジェクトにも再開や買い手への早期引き渡しが可能になるよう道筋をつけるとしている。
これらを受けて、中国不動産関連銘柄は買い戻しの展開となった。不動産株で構成されるハンセン本土不動産指数は前日比3.67 %高と大幅高となり、連日の統計開始以来の安値から一服した。不動産開発の雅居樂集団(3383)は6.9%高、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は6.3%高、中国不動産開発大手の碧桂園(2007)は6.0%高と大幅反発した。
住宅ローンの不良債権化リスクが懸念された銀行大手も反発。中国四大銀行の中国建設銀行(0939)、中国銀行(3988)、中国農業銀行(1288)、中国工商銀行(1398)はそれぞれ反発した。中国版ゆうちょ銀行の中国郵政儲蓄銀行(1658)は4.4%高となった。
ハンセンテック指数などハイテク銘柄も買い戻され前日比3.2%高。高性能データセンター開発の万国数拠HD(9698)は6.9%高、動画配信のビリビリ(9626)は6.0%高、美団(3690)は5.8%高と上げ幅が目立った。香港ハンセン指数は6日ぶりの反発となり前日比2.7%高で引けた。
本土市場では上海総合指数が前日比1.55%高の3,278.10と3日ぶりの反発、CSI300は1.04%高と買い戻し優勢で幅広い銘柄が買われた。同指数は先週末に1か月半ぶりの安値水準だった。一方、週末の中国本土の新規感染者は拡大した。17日の新規感染者数(無症状者含む)は510人で、2日連続で500人超と引き続き感染再拡大が不安視される。
来週のFOMCを前に欧州中銀が先立って21日に理事会開催
来週の米FOMCを前に今週21日、欧州中央銀行は理事会を開催し、11年ぶりに利上げに踏み切る見通しとなっている。ユーロ圏の6月の消費者物価指数は前年同期比8.6%上昇とECBが定める目標から大きく乖離し過去最高の水準に達している。ECBは先月の理事会で今月は0.25%の引き上げ、9月にも追加利上げをする見通しを示している。
為替市場は先週末ユーロが対ドルに対してパリティを割り込み、20年ぶりの安値水準まで下落した。ただ独をはじめ欧州経済の減速懸念が強まる中で、金融引き締めによって景気が冷え込むことが引き続き懸念となる。
また消費者物価指数の顕著な上昇率は欧米に限らず。グローバルに傾向が鮮明になってきた。18日、ニュージーランド統計局が発表した第二四半期のCPIは市場予想(7.1%)を上回り前年比7.3%上昇となった。NZ中銀は昨年から政策金利を米FRB以上の速さで、急速に引き上げ2.5%としている。8月には更に75bpsの利上げに踏み切ると予想される。
一部では6月から商品価格や原油先物の一服により、前年比のインフレ率はピークに達した可能性があるとも指摘されているが、世界的なインフレリスクへの警戒と金利の大幅な引き上げによる景気後退リスクへの懸念が相まって、先行きの不透明感は強まっている。