香港・中国市場Dairy ~ 中国が入国者の隔離期間短縮を発表。中国・香港市場は4営業日続伸。
ハンセン指数 22,418.97 pt (+0.85%)
中国本土株指数 7,893.76 pt (+0.98%)
レッドチップ指数 3,931.71 pt (+1.94%)
売買代金1,759億3百万HK$(前日2,000億1百万HK$)
中国・人民銀行の積極的な金融緩和を示唆
28日の香港市場はハンセン指数が4日続伸し、前日比0.85%高で引けた。同指数は朝方、前日比200ポイント超安で寄り付き、一時は22,000ポイントを割れたが、中国政府が入国者の隔離期間を短縮すると発表したことを受けて、反発に転じた。
また、中国当局の追加景気対策への期待も高まっている。中国人民銀行は本日も資金供給を拡大、28日はリバースレポを実施して1,100億元の資金供給を行った。3日連続の大規模資金供給でネットで1,000億人民元を供給した。この金額は過去3ヵ月間で最高である(過去供給額 600億元 (6/24) →1,000億元 (6/27) → 1,100億元(本日))。
人民銀行の易綱総裁は、「景気回復を支援するため、緩和的な金融政策を継続する」と述べ、積極的な金融緩和を示唆した。
中国本土の入国検疫要件の緩和により、インバウンド需要増加への期待から旅行株が急騰した。オンライン予約のTrip.com(9961)は一時前日比20%を超え、引けは前日比%16高となった。ホテル経営の華住酒店(1179)は同13%高と大幅反発。
航空・外食関連・カジノといった業種が恩恵を受けた。香港大手のキャセイパシフィック航空(0293)は同6%高、中国国際航空(0753)は同10%高。外食チェーンの九毛九国際(9922)は同8%、火鍋チェーンの海底撈国際HD(6862)は同7%上昇した。カジノ関連ではサンズ・チャイナ(1928)が同11%高、銀河娯楽(0027)は同8%高で引けた。
また、中国本土株も、規制緩和の報道を受けて堅調に推移した。上海総合指数は前営業日比0.89%高の3,409.21と4日続伸、CSI300も同1.04%高の4,490.52で引けた。好地合いが続き、終値ベースで約3ヵ月半ぶりの高値を更新した。
中国、入国者の隔離期間短縮へ
中国国家衛生健康委員会は28日、新型コロナウイルスの流行に伴い海外からの入国者に義務付けている隔離期間を短縮すると発表した。
濃厚接触者や中国本土の外から渡航してきた人の隔離期間は、これまで「14日間の集中隔離期間」+「7日間の自宅隔離期間」と規定されていた。今回の改訂により「集中隔離期間を7日間」、「自宅隔離期間を3日間」に変更した。
今回の要件の短縮は足元、減少傾向が続く新規感染者と経済の正常化に向けた政策変更であり、各地方の防疫機関に実施を指示した模様である。
28日に報告された27日の新型コロナウイルスの新規感染者数は、北京と上海で市中の感染者がゼロと、2月下旬以来始めて感染者が確認されなかった。上海では店内飲食を段階的に容認し、北京でもユニバーサル北京リゾートなど一部の娯楽施設の営業が再開、上海ディズニーランドも6月30日より営業再開を発表した。相次ぐ経済活動の正常化に向けた動きに株価への反発期待は盛り上がっている。
逆行して下げたのは、インターネットサービス大手のテンセント(0700)だった。オランダの投資会社プロサスと南アフリカのメディア大手ナスパーズは自社株買いの資金を調達するために、テンセント株を段階的に売却する方針を示したが、これが連日の悪材料とされている。
ナスパースはプロサスを通じてテンセント株を約27億6900万株、28.78%を保有している大株主で、同社が3年間のロックアップに反して売却を表明したことが売り材料となっている。同社株は市場を大きくアンダーパフォームし前日比▲3.2%で引けた。
ナスバース社が継続してテンセント株の売却を続けるかどうかは不明である。テンセントの一日あたりの平均取引量は約2,685万株であることから、売却株数を約134万株(5%相当)として試算すると、すべて売却し終わるには約2,064日かかることになる。
従って、全株を市場で売却することは現実的ではない。断続的な売却に耐えられず株価が下げる懸念は残るが、一連の株売却の規模が限定的なものにとどまり、インパクトはさほど大きくないとの見方が妥当ではないだろうか。