香港・中国市場Dairy ~香港ハンセン指数は4日ぶりに反落。異常気象に見舞われる中国では電力不足による不安が再燃。
ハンセン指数 21,008.34 pt (▲2.56%)
中国本土株指数 7,335.00 pt (▲2.84%)
レッドチップ指数 3,754.75 pt (▲1.23%)
売買代金1,269億4百万HK$(前日1,193億6百万HK$)
22日の香港市場は4日ぶりに反落し、前日比2.56%安で引けた。同指数はここ数日、急ピッチで上昇したことに加え、休場明けの米国市場では金融引き締めの加速によって、景気後退(リセッション)に陥るのではという懸念から買いが手控えられた。異常気象に見舞われる中国では電力逼迫や洪水、土砂災害も懸念材料として意識された模様だ。
香港市場はハイテク株中心に売りが先行し、ハンセンテック指数は同4.37%と大幅安となった。ヘルス関連銘柄が下落し、阿里健康(0241)と京東健康(6618)は揃って同14%近くの下落。薬品管理法の改正により、医薬品販売の規制強化が高まることが不安視された。その他、幅広いセクターが売り優勢となり、再び市場は買い材料不足から弱気相場に戻った。中国本土株については上海総合指数が、前日比1.20%安の3,267.20と3日続落、CSI300は同1.27%安の4,270.62で引けた。
異常気象に見舞われる中国では電力不足が再燃
今月に入って異常気象が続く中国。竜巻や洪水の次は猛暑に襲われている。河南省では42度を超える暑さが続き、山東省と河南省の電力消費量は今週、エアコン使用が増加した影響で、記録的な数字となったと報じた。河北省の火力発電会社を訪問した李首相は、「停電を断固として防ぐ」ために石炭の生産能力を高めなければならないと述べた。香港電力大手の中電控股(0002)は13日連続下落した。
また洪水に見舞われた中国南部の広東省と福建省では、5月初めから6月半ばまでの降水量が1961年以来最多を記録した。土砂崩れや河川の氾濫などの被害が広がっており、異常気象は今後一層頻度が増すとみられる。こういった要因も中国の電力供給懸念が高まり、市場とは逆境して石炭関連株のラリーが本日も続いた。石炭の採掘業者の弘海高新資源(0065)は前日比140%上昇、綠領控股(0061) は同25%上昇し、市場をアウトパフォームする場面がみられた。
香港CPIを発表、香港ドルの弱さが目立つ
香港国税調査統計局は21日、最新の消費者物価指数(CPI)を発表し、5月は前年比1.2%の上昇、市場予想(1.9%)を下回った。世界的に高インフレの中、香港のインフレは低い水準のままだった。
主な要因は、香港の消費者物価指数の算出方法が異なるためである。主に食品・エネルギーの価格に基づいている欧米とは異なり、香港は住宅支出の割合が最も大きく、全体の40%を占めている。また大部分が住宅賃料によるもので、ここ19ヶ月連続で前年比から減少していることも伸び悩む要因となっている。
内訳は衣料品・履物が前年比5.6%の上昇、次いで食料品が同4%上昇、住宅賃料については同0.8%減少した。香港は4月から新型コロナの規制緩和が徐々に進み、域内全体のインフレは食料品を含め回復傾向である。一方、欧米のインフレ上昇率は顕著であり、米国では5月の消費者物価指数が過去最高の同8.6%上昇を記録していた。これを受けて、米連邦準備理事会(FRB)は同月15日、FOMCを開催し政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.75%の引き上げ。香港ドルは米ドルとペッグ(連動)制を採用するため、米国の利上げに追随し、香港金融管理局(HKMA)は政策金利を1.25%から2.00%に引き上げており、米国と同じく今年3回目となっていた。
ペッグ制をとる香港にとっては、追加の利上げに追随することは致し方ないことだが、金利差は、為替市場では香港ドルの売り優勢が続く原因となっている。ここ数日の香港ドル/ドルレートは上限の7.85に達しており、HKMAは繰り返し為替介入の香港ドル買いを実施している。HKMAが5月12日以降実施した介入金額は、記録的なペースで、22日時点では計13回の介入で、金額は計957香港ドルに及ぶ。カレンシーボードの決済性預金口座残高は2417.8億香港ドルにまで減少している。
HKMAが為替市場に介入することによって香港ドル銀行間取引金利(HIBOR)は全面的に上昇している。1か月のHIBORは12日間連続で上昇し、直近では昨日より0.05809%高い0.70625%で、2020年6月以来の最高値を更新している。今後も米国の利上げに追随する香港ドルは売り優勢の流れが続くとみられる。
また下落しているのは香港ドルに限らず、アジア全体に広がっている。22日の外国為替市場は、フィリピン・ペソが一時約16年ぶりの安値を付け、韓国ウォンは2009年7月以来の安値まで落ち込んだ。最も香港ドルとは違って需給によるものだが、フィリピンの経常赤字拡大や韓国株式市場からの資金流出といった要因も、通貨安を促している。引き続き米国の急ピッチの金融引き締めが為替市場に影響を及ぼすと考えられる。