香港・中国市場Dairy ~
世界的インフレ懸念が再燃し香港株は下落、中国市場は反発へ
ハンセン指数 21,082.13 pt (▲1.00%)
中国本土株指数 7,267.57 pt (▲1.06%)
レッドチップ指数 3,926.17 pt (▲1.13%)
売買代金1,036億0百万HK$(前日1,260億8百万HK$)
香港ハンセン指数は2日続落。一時21,000ポイントを割りこみ、前日比1.0%安の21,082.13で引けた。原油価格の上昇やカナダ中銀が1日に2会合連続で50bpsの引き上げを行ったことなどから、インフレ懸念が強まった。特に、不動産株の下落が目立ち、不動産の恒隆地産(0101)、恒基兆業地 (0012)がそろって前日比5%近く下落、新世界(0017)は4%下げた。FTSE Russellは「FTSE EPRA Nareit Developed Asia Index」から中国不動産の上記3銘柄を除外し、日本のサムティレジデンシャル(3459.JP)、いちご不動産リート(2337.JP)、韓国のロッテリート(330590.KRX)を採用すると発表した。この発表を受けて主要な中国不動産株は下落し、新鴻基不動産(0016)、信和置業(0083)は揃って下落した。
中国政府の政策を追い風に、自動車セクターは上昇した。長城汽車(2333)は前日比6%上昇、広州汽車(2239)、吉利汽車HD (175)、BYD(1211)の上げが目立った。
今月17日開催の米国FOMCを前に、オーストラリア、ニュージーランド、メキシコ、英国などの中央銀行も利上げを実施すると予想され、金利上昇が意識される展開だった。また米FRBは昨日6月1日から量的引き締め(QT)を開始した。月間で475億ドル(うち国債が300億ドル、MBSが175億ドル)の資金吸収を実施する。前回の2017年のQT開始時には、株価が急落したことも、参加者の警戒感を強めるだろう。
中国本土の株式相場は、国務院が先週発表した追加経済対策への期待感で支えられている。中国株価指数はいずれも他指数をアウトパフォームし、前日比プラス圏で引けた。上海総合指数は前日比0.42%高の3,195.46、CSI300指数は同0.16%高の4,089.57で引け、再び1か月半ぶりの高値まで回復している。
中国本土の新規感染者も縮小傾向であり、前日の感染者は61人と3日連続で100人を下回った。昨日から行動規制が解除された上海では計13人の感染者とピークから大幅に減少している。
1日、国務院に出席した李首相は、改めて経済の安定化を図るための政策と一連の措置を進めていくことを示した。またインフラ建設の財政支援のため政策銀行の信用枠を8000億人民元積み増すよう指示し、また減税や税還付のため新たに追加された1400億元を7月から払い戻しを進めていくとした。
なお、明日3日は午節の祝日で、中国本土・香港市場とも休場となる。本レポートもお休みします。
中国の格付けを「A+」で確認
2日、格付会社フィッチ・レーティングは、中国の格付けを「A+」に据え置き、見通しを「安定的」とした。同社は5月3日に中国の国内総生産(GDP)成長率を4.8%から4.3%に引き下げており、成長率の見通しに対しては更に下振れるリスクが高まっていると指摘しつつ、強固な対外財政やマクロ経済などの要因を理由に安定的な見通しが続くと示した。
中国本土ではオミクロン株の封じ込めのために3月半ばから始まった広範囲にわたる制限により、中国の月次活動指標は2020年頭以来の低水準だと指摘。不動産セクターについても依然として受給が逼迫する環境が続いている。一方、22年第二四半期以降は中国の経済回復はポジティブとして捉え、23年度の中国GDP成長率については前年比5.2%とした。
フィッチはまた、中国の財政政策は今年大幅に緩和されると予想しており、赤字幅は21年度のGDP比4.5%から22年度はGDP比7%に拡大すると予測している。中国当局は経済活動を正常な軌道に戻すために計6分野33項目に及ぶ景気安定化策を先週発表しており、GDPに対して2.2%の税還付やインフラ整備のための地方債の発行も進めていく予定としている。フィッチは経済が再開するにつれて、連結財政赤字は2023年に5%に縮小すると予測し、積極的な財政政策が中国経済とマクロ環境の改善につながると予想している。