原油相場は一段と上昇
2月7日の原油相場は、旺盛な需要の継続とウクライナ情勢の緊張継続、北米での厳冬による供給障害を背景に、一段高となり約7年ぶりの高値を更新した。サウジアラビアは、原油の設定価格を引き上げたことや、米国の製油所が閉鎖されたことが材料視された。このため、北海ブレント先物で、1バレル=94ドルを付け、WTI先物も92ドルを目前とする展開だった。
一方で、米国とイランの間接協議が8日に再開される。協議が進展すれば、2015年に停止されたイラン核合意が復活し、イラン原油の供給が拡大して需給緩和に繋がる可能性がある。この材料で、原油先物は7日の高値からは軟化している。
原油高は、高まるインフレ圧力を受けて金融引き締めへの姿勢を鮮明にする米FRBによる3月FOMCでの利上げ幅が大きくなるとの観測に繋がっている。このため、10年米国債利回りは8日アジア時間の取引で0.02%上昇し1.93%台にのせている。2年米国債利回りも0.02%上昇して1.31%を付けている。先週末の米雇用統計以降、フェデラルファンドレート(FF)先物市場のインプライドレートはじわじわと上昇を続けており、3月FOMCでの0.50%幅での利上げを織り込んだ。
金融引き締めを巡っては、先週のECB理事会を経て議論が始まった感がある。ラガルドECB総裁は7日、欧州議会で、ユーロ圏経済が新型コロナウイルス禍から回復する過程で、インフレに関する経済データを注視し、中期的なインフレ見通しに対する影響を慎重に分析すると発言した。拙速に結論を急ぐ必要はないが、まず、資産購入の終了を経たあと、利上げを開始するとの順序を明らかにした。BOE政策委員会なども、金融政策のバイアスは、金融引き締めに傾いてきたことは明らかである。
1月からの動きを振り返ると、10年米国債だけではなく、ドイツ国債や日本国債の利回りが急ピッチで上昇してきた。ドイツ国債は、マイナス0.15%からプラス0.15%へと上昇した。日本国債の利回りも、0.06%から0.20%にジワリと上昇してきている。こうした動きには、注目すべきだろう。債券利回りへの上昇圧力(価格は下落)は相当に強まっていると考えるべきである。
為替相場でも、ECBの利上げ時期を巡って時期が早まるとの観測が広がると、ユーロドルには支援材料となるだろう。ドル1強だった流れに変化が生じる可能性があることには注意が必要である。
今週は、金利動向を占ううえで重要な、米国消費者物価指数CPI(1月)が10日に発表される。