(米国経済)1月雇用統計も堅調

非農業部門雇用者数が前月比で46万7千人増加

2月4日に米国労働省が発表した雇用統計(1月)は、非農業部門雇用者数が前月比で46万7千人増加だった。また、2021年12月の同雇用者数は速報値の19万9千人増加から51万人増加に上方修正された。

失業率は1月は4.0%と昨年12月の3.9%から小幅悪化した。一方で、賃金は引き続き上昇し、時間当たり平均賃金は前年同月比5.7%増と、2020年5月以来の大幅な伸びだった。前月比でも0.7%増加し、賃金の上昇傾向はむしろ加速している。

堅調な雇用市場

雇用統計は、総じて堅調な内容だと言えるだろう。1月は例年、雇用市場は停滞しがちで、雇用数は減少する傾向にある。しかし、今回は幅広く雇用増がみられ、人手不足の解消に向けて企業が継続的に雇用を拡大させていることがうかがわれる。なお、労働省が季節調整のモデルを変更したことも考慮には入れておくべきだろう。

新型コロナウイルス・オミクロン変異株の感染拡大により対面での消費者向けサービス業は影響を受けたが、雇用市場は底堅い回復を示したといえ、米連邦準備理事会(FRB)による3月FOMCでの利上げを支援する内容と受け止められる。また、FRBが利上げに踏み切っても、米国経済が景気後退に陥ることなく、インフレを抑制しうる可能性が強まったとも考えられる。筆者はFRBがより強気に金融の引き締めを図る可能性もあり、金利の上昇は続き、株価には重しになる可能性を見ておくべきと、市場にとっては必ずしも好材料とは受け止めていない。

バイデン米大統領は、雇用統計を受けて、「全ての米国民の雇用を確実にすることは素晴らしいスタートだが、それが終わりではない」とコメントした。経済が回復基調にあることは政権にとってはプラスになるはずなので、この辺り、もう少し色気のあるコメントが欲しいなと思うのだが。