資産運用

「有事の円買い」の意味とは、わかりやすく説明します

海外で暮らしていると、為替レートの動きに敏感になったり、市場関連のニュースに関心が高まったりするのではないでしょうか?「有事の円買い」という言葉を耳にされたことがあると思います。これは世界規模で大きな紛争や事故や災害などが起こると、資金の逃避先として日本円を買う人が増え、円高が進行することを言います。例えば、米国がイランの軍事指導者を殺害したというニュースにも、市場は「円買い」で反応しました。日本円は国際情勢に不安が高まると買われる傾向にあり「安全通貨」や「逃避通貨」とも呼ばれます。

 

「有事の円買い」が起こる理由は諸説ありますが、ひとつは「日本は世界最大の債権国」であり対外純資産残高は340兆円もあり、それが急に還流することです。また、日本の政情が相対的に安定しているということも理由として挙げられます。他の理由としては、日本円は低金利なので、日本円を借り入れて、為替市場でその円を売り、金利の高い外貨に替えて投資する、いわゆる「円キャリートレード」があげられます。何か事が起こるとリスクを避けるためにこのポジションを解消しようとする動きが強まります。為替市場で、米ドルと日本円を交換する取引は、流動性も高く、機動的に取引しやすいということも理由としてはあるでしょう。

 

 

ただ、よくよく考えてみると、有力説のいずれも長期的に日本円を保有する理由にはなりにくいことが分かります。海外の投資家やファンドマネージャーと話していると、短期的に「日本円は買う」行動をとっても、そのあと買った日本円をどうしたらいいのだという話に必ずなります。魅力的な投資はないのか?という疑問にぶち当たるのです。日本円を買ってその資金で日本企業の株や円建ての債券を買うという行動は、もっと本質的な理由がないと取れません。その理由に乏しいのが日本の課題です。世界の投資家は、各国・各通貨の経済成長や特徴・金利差・信頼性といった様々な要因を踏まえて行動をとりますが、やはりこの場合も長期的な視点が大事になるということです。