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ベトナムは新たな発展の5年をスタート

ベトナムは新たな発展の5年をスタート

ベトナムでは、第14期国会の最終会議が閉幕し、新国家主席・首相が選出されて、新体制が始動した。フック前首相が国家主席に選出され、初めて首相から国家主席に昇格したケースとなった。中央組織委員長だったチン氏が新首相に選出された。5年の任期で、集団指導体制を敷くベトナムは、チャイナプラスワンと言われるサプライチェーンの移転先として、また、中間層が増大する新興国としてのさらに発展・躍進することが期待される。

その後、5月23日に国会議員選挙の投票が実施された。新型コロナウイルス対策の「優等生」とされるベトナムでも変異株流入で感染者は増加傾向にあり、投票所では検温やマスク着用などを徹底する厳戒態勢が敷かれた。開票結果は6月中旬までに発表される予定。共産党の一党独裁支配が制度化されているベトナムでは、選挙の立候補前に、立候補資格の事前審査がある。このため、事実上、党が容認しない候補は出馬できない仕組みである。したがって、一党独裁支配が揺らぐ余地はない。しかし、非党員や、党・政府組織などの推薦を受けない自薦候補も立候補していて、そうした候補者がどれだけ当選するかは注目される。

ベトナム全土で6,950万人が投票所に行き、投票率は99.16%に達したという。省ごとで最も投票率が高かったのはラオカイ省、ランソン省、チャービン省の99.98%だった。最も低かったゲアン省でも97.3%と、投票率でも民主主義国とは大きな開きがある。有権者は、選挙に積極的に参加しており、市民の責任、権利、義務を果たしているというプロパガンダがされている。しかし、実態はなりすまし投票も多く、投票所では家族全員分の投票用紙を忙しく記入している光景もままあるのだという。

ベトナム経済は足元も堅調

4月の経済指標は好調なベトナム経済の現状を示唆するものだった。製造業の生産は引き続き高水準である。鉱工業生産は前年比24.1%増、2021年4か月累計でも前年同期間比10%増だった。特に、欧米向けの新規輸出受注が伸びており、製造業の購買担当信頼感指数(PMI)は54.7まで上昇して、5か月連続で拡大した。1-4月期の輸出は前年同期比28%増、金額ベースでも$1,040億米ドルだった。一方、輸入も急増しており、前年同期比31%増、金額で$1,030億米ドル。貿易収支は$11億米ドルの黒字となった。
国内消費も堅調である。小売売上高(4月)も増加、前月比2.3%増と2021年4か月累計では前年同期間比10%増となった。消費意欲は引き続き旺盛で、Eコマース、デジタル売上で同16%増、$140億ドルを売り上げており、この分野だけでGDPの5%程度の規模に達する可能性も見えてきている。
一方で、物価は、2021年4か月間で見るとCPIが2.7%増と気になるところだが、4月単月では0.04%減と低水準となり、今後の推移が注目される。第1四半期のGDP成長率は前年同期比4.5%とまずまずで、2020年もプラス成長を維持した勢いをそのまま堅持している。2021年通年では成長率は+6.6%と予想されている。

3月の調整から4-5月は反転、好調に推移したベトナム株式

ベトナムの株式相場は3月に比較的大きな調整を経たが、ベトナム株価指数(VNI)は4月に大きく反転した。第1四半期の企業決算が良好だったことに支えられ、月足では4.1%上昇した。ホーチミン証券取引所(HOSE)の取引システムの技術的な問題が2-3月に露呈したことも、3月の相場の不調の遠因ではあったが、HOSEはシステムを改修し、1日当たりの取引量を最低US$10億ドルまで拡張したこともあり、相場の回復に一役買った面もある。
HOSEのシステム上の課題は、既存の取引システムをさらに抜本的に改修するか、全く新しい取引システムの導入をするかだが、年内には、解決策が決まるといわれている。

5月に入ると、ベトナムも新型コロナウイルスの第4波に見舞われたが、株式相場は、比較的安定して推移した。2021年第1四半期の決算は、全体としてみると前年比81%増と好調で、通年決算予想も上方修正される可能性が取りざたされている。外人投資家の動向も4月から大幅に改善が見られた。変異種が目立つようになってきた新型コロナウイルスの感染第4波やワクチン接種が進んでいないことは、他の新興国同様にやや気がかりだが、政府の封じ込め策も徹底しており、ベトナム経済や金融市場の足を引っ張るほどのかく乱要因にはならないものと見込む。