市場予想

8月の米消費者物価指数CPIは伸び鈍化

物価上昇一服か

米国労働省が9月14日に発表した消費者物価指数(8月)は、総合CPIが前月比0.3%上昇と前月の同0.5%上昇からは、伸びが鈍化した。今年1月以来の低い伸びで、インフレ率上昇の圧力は一部で弱まった可能性がうかがえる統計だった。前年同月比で見ると5.3%上昇だった。

変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.1%上昇と、こちらも今年2月以来の低い伸びとなった。前年同月比では4.0%上昇。

詳細では、8月は旅行費用、自動車関連で物価が低下した。航空運賃が前月比で▲9.1%、中古車が▲1.5%、自動車保険▲2.8%下がった。ホテル宿泊費とレンタカー料金も低下だった。デルタ変異株の感染が拡大し、人々が他人との接触機会を抑制したため、旅行や外出需要の減少が、これらの分野で価格を下落させた。上昇したものとしては、家賃、家庭用家具・備品、自動車部品、男性用スーツだった。経済が回復する中、今年上半期は物価の上昇が顕著だったが、ここにきて一部に緩和されつつあるところも垣間見える。

先週の生産者物価では、原材料不足や輸送のボトルネック、採用難など、企業部門は生産コストの上昇に直面しており、これが消費財やサービスの価格に転嫁され始めていることを示した。サプライチェーンの混乱は続いており、不安定な状況から、インフレ率上昇圧力が2022年にかけて続く可能性は十分にある。先週、トヨタ自動車は、半導体不足などを理由に生産計画の下方修正を発表した。生産抑制による需給ひっ迫は価格上昇要因となる。また、  ハリケーン「アイダ」の被害で米メキシコ湾の製油施設や石油化学工場の操業が停止したことも、生産に影響することが懸念される。原油価格も高止まりしている。

もう一つ厄介なことは、物価上昇が消費に与える影響も出てきていることであろう。企業は採用難から、第2四半期には賃金・給料を引き上げる動きがみられたが、この間、物価が急ピッチで上昇したことで消費者の購買力はむしろ下がっているという統計も出ている。インフレ調整後の実質平均時給(8月)は、前年同月比0.9%減少と7月も同1.2%減少と減少に転じている。

FOMCでのテーパリングの判断は?

8月の消費者物価指数は、インフレ率の上昇は、一時的な現象だと捉えてきたバイデン政権や米FRBの見方を支持するものだと言える。物価上昇圧力により、消費が抑制されれば、景気の勢いは削がれることも、そうした見方を支援する材料である。FRBは今月下旬にFOMCを控えているが、消費者物価の上昇が緩慢になり、また消費動向の伸びにも陰りがみられると判断すれば、テーパリング開始の判断は先送りするだろう。ただ、筆者は、インフレ率の上昇圧力は厳然とあり、一過性かどうかの判断は難しいことと、景気の勢いがテーパリングの開始に耐えうると考えていること、そして不動産価格など資産価格の上昇を支援する量的な緩和の段階的な縮小は、十分有り得る判断だと考えている。ECBの先週の判断も参考にはなるだろう。

米国株式相場は調整色強まるか

8月の消費者物価指数の発表後は、米国での物価上昇圧力が、企業業績を圧迫することや消費を冷やし、米国経済の成長の足かせになるとの懸念から売りに傾いた。3株価指数はいずれも下落し、S&P500 は前日比0.6%安の4,443.05、ダウ平均は同0.8%安の34,577.57ドル、ナスダック総合指数は同0.5%低下して15,037.76で引けた。FOMCでの判断を巡って、市場では読みが交錯するだろう。当面、弱持ち合いでもみ合う展開を予想する。