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米国CPI(6月)は予想を超える上昇

米国CPI(6月)は予想を超える上昇

7月13日に発表された消費者物価指数CPI(6月)では、総合CPIが前月比0.9%上昇(5月は同0.6%上昇)、前年同月比では5.4%上昇した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIでは、前月比で0.9%上昇、前年同月比で4.5%上昇と、1991年11月以来の高い伸びを示した。経済活動が再開され、それに伴って商品価格や雇用コストが上昇していることで、物価には上昇圧力が掛かっている。

ホテル宿泊やレンタカー、衣料品、航空運賃など広範な経済活動再開に関連した分野では、価格が持ち直してきており、こうした動きもCPIの伸びに大きく寄与したようである。ホテルやレンタカー、航空運賃など、人の移動にダイレクトに影響される業種や、衣料品など経済活動が再開されるにつれて消費が上積みされる業種での需要拡大が価格上昇に繋がっている。このところ上昇を続けている新車と中古車の価格も、前月比では過去最大の伸びを記録した。

市場にとってはサプライズ

6月のCPI統計はかなりの上振れで、市場にとってはサプライズとなった。四半期ベースで見ても第2四半期のコアCPIは年率8%を超えて上昇した。1980年代初期以来の高い伸びである。ただ、市場では、一部の商品価格の上昇がもたらした、一時的な価格上昇と指摘する見方が根強い。新型コロナウイルスの感染流行により前年の物価の下落幅が大きかったために、前年同月比でみると数字が大きくなるベース効果が、今年の統計の上昇割合を大きく見せているとの指摘もある。ただ、それだけで、物価の上昇に目をつぶることは、正しいのだろうか?今後、伸び率は落ち着いてくるとの見方は、双方に共通するところであるが、今後数カ月にどの程度減速して落ち着きを取り戻すかは、まだ不透明である。筆者は、果たしてそれが一時的なものかどうかを証明する手立て現時点ではなく、警戒が必要だと考えている。

パウエルFRB議長をはじめFRB首脳は、こうした物価上昇が経済活動再開に伴う一過性の影響によるところが大きいとの見解を示し続けている。しかし、一部では、長期的で持続的なインフレ圧力に繋がる可能性にも言及されるようになっている。インフレ調整後の実質平均時給は6月に前年比1.7%減少、5月も同2.9%減と、渋い顔をしたくなる数字である。これを是正するには、インフレ率を抑えにかかるしかない。

FOMC投票権者の意見にも変化が

地区連銀総裁の中には、量的緩和措置を早期にやめるべきとの発言も出てくるようになった。12日、ブラード・セントルイス連銀総裁は、FRBによる債券購入の段階的縮小(テーパリング)に向けて用意するべきであるとの考えを示した。米国経済が年率7%ペースで成長に向かい、新型コロナウイルス感染拡大が制御されつつある中で、緊急避難的に実施した緩和措置は、縮小するタイミングに来ていると明言した。

バーキン・リッチモンド連銀総裁は、低所得労働者にも賃金上昇が波及している現象がみられ、インフレ圧力が広がっていると指摘したうえで、9月ころまでに、インフレの影響が持続可能なものかどうかがわかると語った。言い換えれば、夏場を過ぎて、なお賃金の上昇が継続すれば、それは一時的なものとはいえず、長期的なものになるとの警戒感を示したことになる。

FOMCは議論を始めるという。その議論の中で、機が熟したとの見解が共有されたとき、FRBは果断に金融政策を変更するだろう。繰り返しになるが、FRBにとっては、雇用の確保とインフレの抑制こそが、すべてであり、動かなければならなくなったと判断したときには、市場の予想を超えて動くのだろう。