先進国市場

米国経済は、経験したことのない景気回復過程に。

5月17日にニューヨーク連銀が発表した製造業景況指数(5月)は24.3だった。4月の26.3からは小幅に低下したが、高い水準を維持しており、製造業の生産活動は堅調なペースで拡大していることが示された。気になるのは、仕入価格指数が83.5で8ポイントの増加、販売価格指数も37.1と2ポイント上昇したことで、いずれも統計開始以来の高い水準だった。卸売物価指数の急上昇と平仄はあっており、価格への上昇圧力は高まっていることがわかる。入荷遅延指数は、過去最高だった前月からは幾分低下したものの高い水準を維持した。在庫が低水準になったことで、製造業では生産のピッチを上げようとしているが、原材料や半製品の不足が解消されておらず、ボトルネックになっていることがここでもわかる。新規受注は旺盛で、同指数は28.9に上昇し、こちらも2006年3月以来の高い水準だった。なお、雇用指数は13.6と4月の13.9からは小幅低下したものの、雇用拡大は継続しているといえる。

17日の当局者の発言で気になったものは、カプラン・ダラス連銀総裁の発言である。同日に、クラリダFRB副議長やボスティック・アトランタ連銀総裁は、当面、金利の上昇を云々すべき経済状況にはないと、従来からのFRB高官の発言を踏襲して、市場を落ち着かせるような発言だったのに対し、カプラン総裁は、インフレ率上昇は一時的で2022年には落ち着くと見ているが、この見方には多くの不確実性があり、FRBの利上げも、2022年中にはありうると語った。同総裁はまた、FRBが行っている多額の債券購入による景気下支えが、米国経済に行き過ぎを生じさせる可能性があると指摘したのである。
米国議会や市場では、こうした副作用や意図せざる結果、成長率が急上昇したり、インフレ率が抑えられなくなるということについて、懸念がくすぶっているが、金融当局者からこの種の発言が出たことは尾を引く可能性がある。

カプラン総裁は、今年、連邦公開市場委員会(FOMC)では投票権を持たないが、地方連銀総裁の中にこうした見方が出てきたことは、頭に入れておくべきだろう。前にも述べたが、今回のような景気回復過程は、経験したことのないものである。過去の経験則だけでは、計れないものがあることを肝に銘じるべきだろう。